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令和6年第3回倉敷市議会(第2回定例会) 6月17日(月) 本会議 質問
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内容
会議録
令和6年第3回倉敷市議会(第2回定例会)
6月17日(月) 本会議 質問
公明党倉敷市議団
中西 善之 議員
1 倉敷市のデジタル化について
2 倉敷駅周辺エリアの活性化と周遊促進について
3 イノシシ被害対策と地域経済活性化の新たな取り組みについて
4 南海トラフ地震に備えた避難訓練の実施と個別避難計画を含む実効性のある地区防災計画について
午前10時 開 議
○議長(中島光浩 君) 皆さんおはようございます。ただいまから本日の会議を開きます。
ただいまの御出席は41名、会議は成立いたしました。
~~~~~~~~~~~~~~~
△〔質問〕
○議長(中島光浩 君) それでは、先週に引き続き質問を行います。
初めに、6番 中西 善之議員。
(6番 中西 善之君 質問者席登壇)
◆6番(中西善之 君) (拍手) 皆様おはようございます。公明党倉敷市議団の中西 善之でございます。
それでは、通告に従いまして、4項目について11点を一問一答の方式にて質問させていただきます。
質問に入ります前に、さきに行われた倉敷市長選挙におきまして、伊東市長、5期目の当選、大変おめでとうございます。4期16年にわたり市民のために御尽力されてきた伊東市長の手腕に改めて敬意を表しますとともに、今後の市政運営におかれましても、市民の皆様の期待に応えるべく御活躍されることを祈念し、質問に入らせていただきます。
それでは1項目め、倉敷市のデジタル化について2点お伺いいたします。
1点目、デジタル田園都市国家構想の実現に向けた取組についてお伺いいたします。
本市は、デジタルガバメント推進室の主導の下、デジタル化の推進に積極的に取り組んでおられます。特に、国の掲げるデジタル田園都市国家構想の実現に向けた取組は、市民生活の利便性向上に大きく貢献するものと期待しております。昨年度は、国のデジタル田園都市国家構想交付金を活用した、保護者連絡システムなどを含む地域ポータルアプリである倉敷市公式アプリの導入や、観光アプリである倉敷ファンクラブの導入の2つの事業は、市民の皆様にとって、より便利で快適な生活を送るための基盤となるものと認識しており、これらの事業が実現したことは大変に喜ばしい限りでございます。
そこで、昨年度に引き続き今年度の取組についてはどのようなことを予定しているのか、お伺いいたします。
○議長(中島光浩 君) 伊東市長。
(市長 伊東 香織君 登壇)
◎市長(伊東香織 君) 皆様おはようございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、中西 善之議員さんの御質問にお答えさせていただきます。
倉敷市では、今お話をいただきましたように、デジタル化に対して積極的に取組をしていこうということで、昨年に引き続きまして今回もデジタル田園都市国家構想交付金の活用ということで3つ事業を申請いたしまして、4月1日付で採択をされたところでございます。
1つ目といたしましては、情報発信システム運営事業でございまして、市のホームページをスマートフォンでも見やすくするとともに、市役所での必要な手続や書類を分かりやすく案内するサービスを導入したいと思ってございます。
そして2つ目は、高梁川流域SDGs推進事業でございまして、企業や学生などの多様な主体が参加をいたしております高梁川流域SDGsパートナーからの情報発信や、またパートナー同士の交流や連携を促進するために、専用のポータルサイトを構築したいと考えております。
3つ目は、くらしき健康ポイント事業でございまして、市民の皆様に健康意識を高めていただきまして、楽しみながらウオーキングなどの健康行動の定着化を図っていくために、スマートフォンを活用しまして健康行動に対するポイントの付与や交換ができる健康ポイントアプリを導入していくものでございます。
これらの事業を通じまして市民の皆様にデジタル化のメリットをさらに身近に体験していただけるように、そして市民サービスの向上につながるように取組を進めていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○議長(中島光浩 君) 中西 善之議員。
◆6番(中西善之 君) 今年度も引き続き国の交付金を活用した事業として、高梁川流域SDGs推進事業及び情報発信システム運営事業とくらしき健康ポイント事業の3つの事業が予定されているとのことで、心強く思います。これらの事業は、SDGsの推進、市民の健康増進、特に情報発信システム運営事業は、行政手続のオンライン化を推進する上で重要な役割を担うものと認識をしております。現在、マイナポータルを活用したオンライン化が急ピッチで進められておりますけれども、この過渡期において市民の皆様がスムーズに手続を進められるよう、ホームページ上で手続方法を案内するシステムを構築することは、非常に意味のある取組だと思います。これらは、デジタル技術の活用によって課題解決に大きく貢献するものと確信しております。
続きまして2点目、生成AIの目的と活用方法についてお伺いいたします。
このたび6月の補正予算で生成AIの予算が計上されたことは、大変喜ばしいことです。これは、本市が私たちの暮らしをよりよくするための未来を見据えた第一歩だと感じております。他の自治体では既に生成AIの活用が進んでおりまして、例えば東京都では、職員が安心して使えるようなルールをつくり、5万人もの職員がAIを活用しているそうでございます。また、東京都や京都市では、AIを使ったチャットボットが24時間いつでも住民からの質問に答えてくれるとのことで、とても便利だと評判となっております。横須賀市では、AIチャットボット導入で年間2万2,700時間もの業務効率化が見込まれております。東京都でも職員の8割以上が業務効率化を実感しており、その効果は大きいとされております。
これらの事例からも分かるように、生成AIは単に役所の手続を効率化するだけでなく、市民サービスの向上にも役立つと考えます。例えば、待ち時間の短縮や、より丁寧な対応、さらには今までにない新しいサービスの提供も期待できるかもしれません。一方で、個人情報の保護やAIの適切な使い方など、解決すべき課題も残されております。これらの課題にしっかりと向き合いながら生成AIのメリットを最大限に生かしていくことが大切だと思います。
そこで、倉敷市においても生成AIを積極的に活用し、市民の皆様にとってより便利で暮らしやすいまちづくりを進めていくべきだと考えます。生成AIの利活用について、本市のこれからの取組と方向性についてお伺いいたします。
○議長(中島光浩 君) 杉岡企画財政局長。
◎企画財政局長(杉岡知裕 君) 本市では、昨年6月に倉敷市AI技術利活用研究会を市役所内に設置し、生成AIのリスクを十分に理解した上で活用できるよう、倉敷市生成AIの利用ガイドラインを策定いたしました。そして、他自治体や事業者から利活用についての情報を収集するなど研究を進めています。
生成AI利活用に向けた今後の取組につきましては、各職場で生成AIを利用できる環境を整備する経費を6月補正予算案に計上いたしております。
また、各種アンケート結果等の分析や文書の要約、添削など、本市で利用可能な業務を検討するとともに、職員が生成AIを利用する際に必要となる指示や条件をまとめた事例集を作成することとしております。
これらの取組により、職員の負担軽減と行政サービスの向上につなげてまいりたいと考えております。
○議長(中島光浩 君) 中西 善之議員。
◆6番(中西善之 君) まだスタート段階だと思いますが、AIの進歩は非常に速いので、それに追いつくように迅速に活用を進めていただきますようによろしくお願いいたします。
続きまして、この項最後の質問、教育ICT活用推進と今後の展望についてお伺いいたします。
GIGAスクール構想が本格的に始動し、全国の教育現場で教育DXが急速に進んでおります。文部科学省の調査では、採点システムやAI機能搭載教材の導入により教員の負担軽減や生徒一人一人の学習状況把握が進み、個別最適化された教育の実現に効果を上げている事例が報告されております。
しかしながら、AIの進歩は目覚ましく、その活用能力によって教育現場の質に大きな差が生じる可能性があることを危惧しております。例えば、AIを活用した個別最適化された学習では、生徒一人一人の習熟度や学習スタイルに合わせた教材や課題が提供され、効果的な学習を促すことができます。一方で、AIの活用が遅れている教育現場では、このような個別最適化された学習環境を提供することが難しく、生徒の潜在能力を引き出す機会を逃してしまう可能性があります。本市におきましても、採点システム導入事業やAI機能搭載のデジタルドリルの導入は、まさに時代の流れに沿った大変意義深い取組であると評価をいたしております。
そこで、採点システムやAI機能搭載のデジタルドリルなど先進的な教育ツールの導入によって具体的にどのような教育効果を期待しているのか、またそれらのツールを活用した今後の教育の展望についてお聞かせください。
○議長(中島光浩 君) 仁科教育長。
◎教育長(仁科康 君) まず、採点支援システムについてでございますが、紙媒体で行ったテストの答案用紙をAIを用いてデータ化し、パソコン上で教師が確認しながら採点、集計するシステムのことで、市内の26中学校に導入するため、本議会に関係予算を計上させていただいております。このシステムを導入することで採点業務時間が短縮され、教員の授業準備や生徒に関わる時間を確保することが可能となります。さらに、採点結果は、テストの合計点だけでなく、問題別にも自動集計されると同時に、正答率がグラフ化されるため、学年やクラス、また一人一人の学習課題をすぐに発見することができ、適切な学習支援を行うことにつながります。
一方、今年度から導入いたしますデジタルドリルは、AIが児童、生徒の学習課題への取組状況や結果を分析し、一人一人の習熟度に応じた課題を出題することで児童、生徒が自主的に学習に取り組むことができます。
倉敷市教育委員会といたしましては、今後とも教師が児童、生徒と向き合う時間を確保するとともに、授業改善を進めることができるよう、ICTやAI技術の効果的な活用に努めてまいります。
○議長(中島光浩 君) 中西 善之議員。
◆6番(中西善之 君) 教員にも生徒にも大変メリットのあるすばらしい取組だと思います。今後もICTやAI技術の効果的な活用がより速度を増して進むようによろしくお願いいたします。
続きまして、2項目めに入ります。イノシシ被害対策と地域経済活性化の新たな取り組みについてお伺いいたします。
長年、本市では猟友会の方々の御協力の下、鳥獣害対策を精力的に実施してまいりました。その結果、近年では年間1,000頭を超えるイノシシを捕獲するなど、一定の成果を上げてきたことは評価をいたしております。しかしながら、近年市街地へのイノシシの出没は増加の一途をたどり……。
○議長(中島光浩 君) 中西 善之議員、質問2項目めが抜けておりますが、よろしいんでしょうか。倉敷駅周辺エリアの。(笑声)
◆6番(中西善之 君) すみません。仕切り直します。(笑声)
2項目め、改めてすみません、倉敷駅周辺エリアの活性化と美観地区への誘客促進策についてお伺いいたします。
倉敷駅周辺エリアは、本市の玄関口であり、美観地区への主要なアクセス拠点として重要な役割を担っております。しかしながら、現状ではにぎわいは東側エリアに集中しており、特に観光客はほとんど東側エリアにしか訪れていない状況でございます。美観地区への主要な動線も東側に偏っており、西側エリア、特にあちてらす倉敷周辺は再開発当初は集客が見られましたが、現在では夜間営業が中心となり、昼間の活性化が課題となっております。
そこで、東西エリア全体の活性化と新たな観光客層の開拓、そして美観地区への誘客促進について2点をお伺いいたします。
倉敷駅周辺の東西エリアの活性化は、長年にわたり本市の重要な課題の一つとして取り組んでまいりました。しかしながら、現状、東側エリアに観光客が集中する一方、西側エリア、特にあちてらす倉敷周辺はその潜在能力を十分発揮しているとは言い難い状況です。しかしながら、御承知のとおり、西側エリアには歴史を感じさせるノスタルジックな風景や個性豊かな店舗が多く存在しており、これらの魅力を生かすことで倉敷駅と美観地区を結ぶ新たな周遊ルートを整備し、東西エリアの均衡の取れた発展及び観光客の満足度向上を図ることが可能であると確信しております。
つきましては、具体的な施策といたしまして、倉敷駅からあちてらす倉敷西側の旧一番街や旧街道沿いを経由して美観地区に至るルートに、親しみやすく覚えやすい愛称をつけてはどうでしょうか。例えば、あちレトロロードやあちグルメストリートといった、親しみやすくかつ西側エリアの魅力を端的に表現する愛称などはどうでしょうか。愛称の設定は、まちの魅力を再発見し、新たな価値を創造するきっかけとなるもので、愛称をきっかけに西側エリアの隠れた魅力を発掘し、地域住民と連携したイベントやプロモーションを展開することで、昼夜を問わずにぎわうエリアへと変貌を遂げることができると考えます。
この愛称が決定した暁には、案内板や観光ホームページ、倉敷ファンクラブ、倉敷市公式アプリなどを通じて積極的に情報発信を行い、観光客が迷うことなく楽しむことができるように、回遊性を高める施策を展開してはどうでしょうか。愛称の由来やマップ、周辺の観光スポット情報を観光ホームページやアプリで分かりやすく紹介することで、観光客が気軽に西側エリアに足を運びやすくなるような情報発信が可能になるものと考えます。愛称の設定というささやかな取組ではございますが、これが東西エリアの活性化、そして観光客の満足度につながるものと思います。これらのことについて、当局の見解を伺いたいと思います。
○議長(中島光浩 君) 堀越建設局長。
◎建設局長(堀越信宏 君) 中心市街地内の倉敷中央通り西側エリアにおいては、倉敷市中心市街地活性化基本計画に基づきまして、集客の拠点となるあちてらす倉敷に、人々の交流が生まれるオープンスペースを整備するとともに、中心市街地内を巡るまち歩きイベントを実施するなど、来街者の回遊促進に取り組んでいるところでございます。また、民間団体においてもマルシェやワークショップなどのイベントが開催され、活性化に向けた取組が進められております。
通りへの愛称につきましては、地域の皆様とともに旧一番街や旧街道沿いの西側エリアの活性化に取り組む中で必要性について考えてまいりたいと考えております。
○議長(中島光浩 君) 中西 善之議員。
◆6番(中西善之 君) 前向きに取組を進めていただけることと受け止めました。引き続きよろしくお願いいたします。
この項2点目、アニメ・コスプレイベントを通じた西側エリアの活性化と新たな観光客層の開拓についてお伺いいたします。
2016年のアニメイト出店に関するアンケートで、出店場所として倉敷市が全国1位となるなど、本市はアニメやコスプレに関心の高い層が多く存在しております。定期的に開催されておりますコスプレイベントも毎回1,000人を超える来場者を集めるなど、大きな盛り上がりを見せております。この熱気を生かし、アニメやコスプレに特化したイベントを定期的に開催し、アリオ倉敷から西側エリアを経由して美観地区に至るルートをメイン会場とすることで新たな観光客層の開拓と西側エリアの活性化につなげることはできないでしょうか。例えば、コスプレーヤーが楽しめる撮影スポットや更衣室の整備、周辺施設との連携強化、魅力的な飲食店の情報発信など、アニメやコスプレファンが楽しめるまちづくりを進めることはできないでしょうか、当局の見解を伺いたいと思います。
○議長(中島光浩 君) 別府文化産業局長。
◎文化産業局長(別府正樹 君) アニメやコスプレのイベントは、新たな観光客層の開拓につながる観光コンテンツの一つであると認識しており、倉敷市でも人気アニメすみっコぐらしと連携したスタンプラリーやコスプレイベント1000人の金田一耕助などを開催してまいりました。また、倉敷美観地区においては、民間主導のコスプレイベントが定期的に開催されております。今後は、中心市街地内の倉敷中央通り西側エリアの写真映えするスポットや様々なイベント情報、また魅力的な飲食店などについて、倉敷観光WEB、倉敷市観光公式アプリである倉敷ファンクラブ、倉敷市公式アプリなどを通じて情報発信することで、新たな観光客層の開拓と西側エリアの活性化につなげてまいります。
○議長(中島光浩 君) 中西 善之議員。
◆6番(中西善之 君) 前向きに取組を進めていただけることと受け止めました。スピード感を持った対応をぜひよろしくお願いいたします。
それでは、気を取り直しまして、先ほどのイノシシの質問、3項目めに入ります。
イノシシ被害対策と地域経済活性化の新たな取り組みについてお伺いいたします。
長年、本市では猟友会の方々の御協力の下、鳥獣害対策に積極的に取り組んでまいりました。その結果、近年では年間1,000頭を超えるイノシシを捕獲するなど、一定の成果を上げてきたことは、大変に評価をいたしております。しかしながら、近年市街地へのイノシシ出没は増加の一途をたどり、市民の安全を脅かす深刻な事態となっております。イノシシによる作物被害も甚大であり、農業従事者の皆様の生活にも深刻な影響を与えております。また、イノシシが交通事故を引き起こすケースも報告されており、市民生活の安心、安全を揺るがしかねない状況でございます。
こうした状況を鑑み、市はイノシシを県主導で指定管理鳥獣捕獲等事業に指定し、個体数調整を行うよう要望してまいりました。しかし、県は実施の予定がないとしてこの要望を拒否しております。この県の姿勢は、深刻化するイノシシ被害に苦しむ市民の切実な声に真摯に向き合っているとは言えません。そこで、市は指定管理鳥獣捕獲等事業に代わる新たな対策を早急に検討し、市民の安心と安全を守るためにより積極的な対策を講じるべきと考えます。また、猟友会の担い手不足も深刻な課題となりつつあります。さらに、防護柵の設置補助金についても申請手続や補助対象が限定的であるなど、使い勝手が悪いとの声が上がっております。市民の皆様が安心して生活できるよう、条件の緩和や緊急性を伴う柵の設置、老朽化した防護柵の補修に対する事後申請を可能にするなど、より実態に即した補助制度に見直すべきです。
以上を踏まえて3点についてお伺いいたします。
1点目、深刻化するイノシシ被害対策についてお伺いいたします。
市街地へのイノシシ出没が後を絶たない現状を重く受け止め、指定管理鳥獣捕獲等事業に代わる新たな対策として、具体的にどのような対策を検討しているのか、またその実施時期についてお聞かせください。特に、捕獲体制の強化、猟友会の駆除班の担い手不足、被害発生時の迅速な対応など、具体的な対策についてお聞かせください。
○議長(中島光浩 君) 松浦文化産業局参与。
◎文化産業局参与(松浦宏 君) イノシシの市街地出没に対しましては、まずは生息数を管理することが最も効果的であることから、都道府県しか実施できない個体数調整のための指定管理鳥獣捕獲等事業を実施するよう要望してまいりましたが、県からは当該事業の実施は考えていない旨の回答がございました。そのため、イノシシを市街地へ出没させないための対策として、山際等への侵入防止柵の設置につきまして、こちらは現在のところ農地の周辺のみが補助対象になっておりますけれども、農地以外の区域についても補助対象としますよう、県に対し市長会等を通じて要望してまいりたいと考えております。
また、捕獲従事者の担い手確保につきましては、県による新規狩猟免許取得者を対象とした技術研修などのほか、本市においては、新たに狩猟免許または猟銃の所持許可を取得する際の手数料及び講習会受講料に対する補助事業を実施しているところでございます。加えまして、本市におけるイノシシ等有害鳥獣の捕獲を担う倉敷市有害鳥獣駆除班協議会に対しましては、捕獲業務に係る委託料を今年度より増額しまして、捕獲従事者の負担軽減に努めております。
○議長(中島光浩 君) 中西 善之議員。
◆6番(中西善之 君) 県への要望や捕獲体制の強化、補助金制度など多岐にわたる施策を検討していることは、大変評価をいたします。しかし、これらの施策が実際にイノシシ被害の軽減につながるかどうかは、まだ未知数でございます。特に、市街地に出没するイノシシへの対策については、侵入防護柵の設置だけでは不十分であり、より効果的な捕獲方法の検討が必要でございます。また、捕獲体制の強化についても、具体的な数値目標を掲げ、達成に向けた計画を明確にする必要があると考えております。より具体的な対策を早急に検討し、実行に移すよう要望させていただきます。
続きまして2点目、使い勝手の悪い防護柵設置補助金の改善と老朽化した防護柵への対応についてお伺いいたします。
防護柵の設置補助金について、申請手続の簡素化、補助対象の拡大、緊急時の柔軟な対応など、より実態に即した補助制度に見直す考えがあるのか、お聞かせください。また、老朽化した防護柵の補修に対する支援策についても、併せてお聞かせください。
○議長(中島光浩 君) 松浦文化産業局参与。
◎文化産業局参与(松浦宏 君) 本市における侵入防止柵の設置補助事業のうち、農業者が単独で設置した柵に対する有害鳥獣防護柵設置補助金は、毎年20件以上の補助実績がございます。一方で、令和5年度から新設しました、複数の農業者が共同で設置しました柵に対する共同設置柵設置補助金につきましては、補助実績が少ない状況を受け、より使いやすい制度とするため、JA及び農業者団体から意見聴取を行い、要件緩和も含めた制度改正を検討しているところでございます。
また、老朽化した柵の更新や一部補修につきましては、過去に補助金を利用して設置した柵が耐用年数を経過した場合、あるいは補助金を利用していない柵については補助対象としております。
○議長(中島光浩 君) 中西 善之議員。
◆6番(中西善之 君) 次に3点目、この項最後の質問に移ります。ジビエカーの導入についてお伺いいたします。
現在、捕獲されたイノシシの多くが廃棄処分されており、貴重な資源が有効活用されていない現状にあります。イノシシの肉は、高たんぱく、低カロリーで栄養価が高く、ジビエ料理として活用することで、地域の食文化の振興や地域経済の活性化に大きく寄与する可能性があります。一方で、イノシシの廃棄処分は多大な労力とコストがかかり、環境負荷も懸念をされております。特に、大型化したイノシシの処理は一層困難を極めております。
こうした中、全国的にジビエカーが野生鳥獣被害対策や地域経済の活性化に貢献している事例が増えてきております。ジビエカーは捕獲されたイノシシの捕獲場所近くまで行き、解体処理を行うことができるため、廃棄処分の困難さを大幅に軽減する大きな意味を持っております。例えば、近隣の真庭市においてもジビエカーの導入が行われており、鳥獣害の減少、地域経済の活性化、衛生管理の向上、そして廃棄問題の解消といった効果が出ております。このような事例を鑑み、倉敷市においてもジビエカーの導入を検討し、地域課題の解決と経済振興につなげることは非常に有意義であると考えます。当局の見解をお聞かせください。
○議長(中島光浩 君) 松浦文化産業局参与。
◎文化産業局参与(松浦宏 君) 捕獲した野生鳥獣のジビエ利用に当たりましては、食品衛生法の規定による食肉処理業の許可取得、ジビエ独自の感染症対策を含む衛生管理、食用に適切な個体の確保、食品として流通させるための販路開拓及びこれらに要する労力とコストなど検討すべき課題が多いため、ジビエカー導入によるメリットとデメリットを慎重に精査する必要があると考えております。
○議長(中島光浩 君) 中西 善之議員。
◆6番(中西善之 君) 慎重に取り組んでおられる姿勢は理解いたします。しかし、現状の課題指摘にとどまるのみでは、被害拡大を食い止めることは難しいと思います。私は、このジビエカー導入こそがこの問題を解決する大きな一歩だと考えております。繰り返しになりますが、ジビエカーは捕獲されたイノシシをその場で処理できるため、廃棄処分にかかる多大なコストを減らし、貴重な食料資源として有効利用することができます。これは、環境保護の観点からも重要な施策でございます。これにより捕獲数の増加につながり、農作物被害の減少にも貢献します。さらに、ジビエ販売による収入増加は、猟友会のモチベーションと担い手不足の解消にもつながります。そして、ジビエ料理の普及につながり、地域全体を盛り上げ、地域経済の活性化にも貢献すると考えます。既に、猟友会の駆除班の方からも、ジビエカーの導入を検討したことがあり、ジビエカー導入への強い要望と肉の流通に関する知見の提供を受けております。これは、ジビエカー導入が現場に合致した実現可能な施策であるということだと思います。食品衛生法や販路開拓などの課題は、行政の積極的な支援と連携によっても解決が可能です。行政がリーダーシップを発揮し、関係者と協力することでジビエ利用のハードルを下げ、地域全体でジビエを推進することができると考えます。ジビエカーの導入は、イノシシ被害対策、環境保護、地域経済活性化という複数の課題を同時に解決できる、まさに一石三鳥の施策だと思います。
以上のことを踏まえて、もう一度御答弁をお願いします。
○議長(中島光浩 君) 松浦文化産業局参与。
◎文化産業局参与(松浦宏 君) 農林水産省の利用実態調査では、令和4年度の岡山県内のジビエ出荷量のうちイノシシにつきましては3万2,255頭の捕獲数に対し、食用処理ができたものは1,255頭でございまして、利活用率は3.9%と、そのほとんどが廃棄処理となっております。この調査結果からも、野生動物を食用として利用する場合の条件として、捕獲してから解体まで短時間で行うことはもとより、月齢や性別、80キログラム以下の適正なサイズであることのほか、季節的には臭みが出やすい夏場の捕獲は食用に向かないなど、食用として活用することの難しさがうかがえます。
また、ジビエカーを導入している真庭市の例の御紹介がありましたけれども、イノシシは処理に手間がかかることから、現在、鹿だけを食肉として加工しているとのことです。加えまして、導入当初は販路となる美作市の獣肉加工施設へ搬入していたものの、コストがかかり過ぎることを理由に搬送を中止し、現在ではジビエ料理を提供している施設に常駐させていると伺っております。また、ジビエカーでは狭小な山道に入れないため、冷蔵機能を持った軽自動車が捕獲した鳥獣の運搬に当たっているとのことでございます。
続きまして、駆除班員の負担軽減とモチベーションの向上に関しましてですが、本市では今年度中に稼働が予定されております倉敷西部クリーンセンターへ捕獲した大型鳥獣をそのまま運び込むことが可能になります。これにより、駆除班員の省力化が図られるほか、駆除班員が直接捕獲した鳥獣を持ち込んだ場合には、捕獲報酬を1,000円増額して負担軽減を図っておりまして、駆除班メンバーからも前向きな評価をいただいているところでございます。
一方、ジビエ活用のための処理施設設置の御要望は、駆除班その他の事業者も含め、現在のところ、我々は聞き及んでいるところではございません。
このような状況を踏まえまして、本市におけるジビエ利用につきましては、そのメリットとデメリットを吟味しまして、慎重に研究する必要があるというふうに考えております。
○議長(中島光浩 君) 中西 善之議員。
◆6番(中西善之 君) 冒頭で、岡山県全体のイノシシの捕獲数に対する食用処理数が1,255頭で利用率が3.9%という指摘がございましたけれども、これはちょっと論点がずれていると思います。私が申し上げているのは、ジビエカー導入の成果でございます。真庭市は確かに鹿の例ではございますけれども、大型のイノシシも同等にその場で解体処分することが大変意義のあることだと思っておりますので、真庭市の事例をちょっと紹介いたします。真庭市では、令和2年度に捕獲した638頭のうち72頭、11%が食用利用されておりましたけれども、令和5年度には捕獲数1,226頭のうち809頭、実に65.9%以上が食用利用されております。このデータからも、ジビエカー導入による食用処理の容易さと捕獲数の増加が示されております。現在の課題指摘だけでなく、前向きに捉え、解決策を見つけることが重要ではないでしょうか。
ジビエカーの利点は、捕獲から解体までの短期間の処理が可能な点でございます。月齢、性別、サイズ、季節によっての臭みの問題は他の自治体でも研究され、調理方法の工夫で解決することができます。冬場の肉のほうが脂が乗って、雌のほうが肉が軟らかく臭みも少ないとされる一般的な観点から言われたことでもあるのでしょうけれども、見方を変えれば、肉の硬さや脂身の量、臭みは好みに応じて様々なニーズに応えることができるとも言えると思います。
倉敷西部クリーンセンターでの大型イノシシの冷凍保存、解体、焼却の体制については伺っておりましたけれども、捕獲報酬の1,000円増額の話は以前から実施されていることなのでしょうか、それとも12月から実施されることなのでしょうか、併せて再度御答弁をお願いします。
○議長(中島光浩 君) 松浦文化産業局参与。
◎文化産業局参与(松浦宏 君) 捕獲報酬の1,000円増額についてでございますけれども、こちらは処理場に運んでいただいた場合に追加でお支払いするものでございまして、これは従前よりお支払いしているものでございます。
○議長(中島光浩 君) 中西 善之議員。
◆6番(中西善之 君) これ以上伺ってもいい答弁が返ってきそうにないので、以上といたします。
続きまして、最後の項目、4項目め、南海トラフ地震に備えた訓練の実施と個別避難計画を含む実効性ある地域防災計画の策定についてお伺いいたします。
南海トラフ地震は、私たちの日常を一瞬にして奪い去る可能性のある決して他人事ではない、恐ろしい災害でございます。倉敷市においても、各地区で地区防災計画や個別避難計画が策定されておりますが、計画の内容が十分住民に浸透していなかったり、計画を実行する際の課題が明らかになっていないなどの問題が指摘されております。とりわけ、高齢者や障がい者など、避難に支援を必要とする方々へのきめ細やかな対応が不可欠でございます。個別避難計画の作成や支援体制の構築は一刻の猶予も許されない喫緊の課題でございます。訓練を通じてこれらの課題を洗い出し、実効性のある計画に見直していくことが急務です。
そこで、この項1点目、南海トラフ地震に備えた避難訓練の実施計画についてお伺いいたします。
南海トラフ地震はいつ起こるか分かりません。市民の命を守るために、一日でも早く、一人でも多くの市民が地域の避難訓練の必要性を感じ、実際に参加できるよう具体的な計画とスケジュールと市民への周知が必要であると考えます。例えば、高齢者や障がい者の多い地域では、平日の昼間に避難訓練をすることが可能かもしれませんが、状況に応じて夜間や休日に訓練を実施するなど、住民の状況に合わせた柔軟な対応が必要となります。また、訓練への参加を促すためには、広報紙やホームページ、SNSなど様々な媒体を活用した情報発信だけでなく、地域住民への戸別訪問や説明会の実施なども促すべきと考えますが、全地区でより多くの人が参加するための方策についてお聞かせください。
○議長(中島光浩 君) 大本総務局参与。
◎総務局参与(大本進 君) 去る4月1日の人事異動によりまして総務局参与を拝命いたしました大本 進と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
では、お答えいたします。
自主防災組織など、地域における避難訓練につきましては、防災危機管理室職員や防災士の方などが必要に応じて計画を考える段階から参加し、それぞれの地域の危険性や浸水想定などを加味し、訓練の規模、内容やスケジュールなどを一緒に考えて訓練を実施しているところです。
具体的には、子供たちが参加することで若い親世代も参加しやすくなるような訓練内容の提案、避難生活を想定しての非常食の提供や段ボールベッドの組立て、寝心地体験など、参加意欲の湧く訓練を地域が実施できるようにしております。
さらに、今年度からは小学校の避難訓練に地域の方が参加し一緒に避難を行える、そういった取組を新たに始めるなど、避難訓練のメニューの拡充も図っているところでございます。
また、訓練に参加する意義や必要性、非常持ち出し品の例示、避難時の服装など、こういったものを市ホームページや出前講座、各団体の会議などを通じて啓発しており、多くの方が地域での訓練に参加していただけるよう努めているところでございます。
○議長(中島光浩 君) 中西 善之議員。
◆6番(中西善之 君) 小学校での避難訓練への参加など、いろんな取組でできるだけ多くの方が訓練に参加できるよう引き続きよろしくお願いいたします。
続きまして、この項2点目、避難訓練の課題を踏まえた地区防災計画、個別避難計画の見直しと実効性向上についてお伺いいたします。
避難訓練は、計画が机上の空論ではなく、実際に避難できるかどうかを検証する貴重な機会でございます。避難訓練で明らかになった課題を真摯に受け止め、どのように地区防災計画や個別避難計画に反映し、より安全で確実な避難が実現していくのか、例えば避難経路に危ない箇所がないか、避難場所の収容能力は十分か、必要な物資は確保されているかなど、避難訓練を通じて明らかになった課題を一つ一つ検証し、改善していく必要があると考えます。また、高齢者や障がい者など、要配慮者への支援体制を構築し、個別避難計画を作成、運用することで、誰も取り残されることのない避難を実現することができるはずです。こういった内容をどのように実現していくのか、教えてください。
○議長(中島光浩 君) 伊東市長。
(市長 伊東 香織君 登壇)
◎市長(伊東香織 君) まず、地区防災計画や個別避難計画などと、訓練との関係でございますけれども、まず地区防災計画は、地域の皆様に主体的に作成をしていただき避難訓練等を実施していただくことで、地域での実効性を高めていく計画というふうに位置づけております。
そして、個別避難計画につきましても、それぞれの必要な方についての計画を策定し、そしてその計画の実効性を高めるために訓練を実施していくということが推奨されているところでございます。
この計画に基づいた訓練を実施して、実際に計画どおりに避難ができたかどうか、またどういう課題があったかということを把握して、改善していく、そして次の訓練につなげていくということが大変重要なことだというふうに考えております。
実際に地域で訓練を行った方々のお話を伺いますと、例えば連絡網を使用して連絡、避難情報の伝達訓練を行ったのですけれど、1人の連絡の持分が多過ぎて時間がかかり過ぎたでありますとか、車椅子で避難しようとしたけれども、1か所だけ車椅子で乗り越えるのが難しい場所があって、自分が想定していたところから経路を変えないといけなかったなど、実際に訓練してみないと分からないことが見つかる場合がたくさんあるわけでございます。こういうことを訓練を行うことによって実際に逃げるときのスムーズさにつながっていくということだと考えておりますので、市といたしましては訓練の重要性について引き続き啓発をしっかり行っていくことがとても大切なことだと考えているところでございます。
○議長(中島光浩 君) 中西 善之議員。
◆6番(中西善之 君) 訓練の大切さについて非常に細かい説明をありがとうございます。聞いておられる市民の方々も、非常に重要だなということを今認識したことと思います。さらにこの訓練に参加できる方が増えますよう、啓発のほうよろしくお願いいたします。
それでは、この項最後の質問、3点目、避難訓練における要配慮者へのきめ細かな対応についてお伺いいたします。
避難訓練の成功は、住民一人一人の参加にかかっております。そのため、避難訓練に参加する高齢者や障がい者など、避難に支援を必要とされる方々へのきめ細かな配慮は、命を守る上で重要でございます。高齢者や障がい者など、要配慮者に対して個別の避難支援計画を作成し、避難訓練への参加をサポートする体制を構築する必要がございます。こういった問題をどのように解決していく考えなのか、教えてください。
○議長(中島光浩 君) 大本総務局参与。
◎総務局参与(大本進 君) 作成しました個別避難計画や地区防災計画に基づいて訓練を実施するに当たっては、避難時に配慮を要する方をサポートする場合に、車椅子の使用方法をはじめ、障がいや介護に関する基礎的な知識が必要なこともあります。このため、事前に車椅子の正しい使い方や要配慮者をベッドから起こす方法などの講習を受けた後に、要配慮者本人の体調などを考慮して避難訓練を行うことも大切であると伝えているところです。
また、訓練実施時には要配慮者が安心して参加できるよう担当のケアマネジャーに付添いを求めることなど、安全に配慮することを依頼しております。
引き続き、地域において要配慮者の方も参加できる訓練が実施できるよう努めてまいります。
○議長(中島光浩 君) 中西 善之議員。
◆6番(中西善之 君) サポートにより要配慮者の方が訓練へ参加できるようにスムーズな対応をよろしくお願いいたします。
さらには、外国から来られた住民や日本語が理解しづらい方々に対しても、多言語での情報提供や分かりやすい説明を行うなど、きめ細やかな対応を求められておりますので、一つずつ着実に進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
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