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日本共産党倉敷市議会議員団
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令和7年第3回倉敷市議会(第1回定例会) 3月6日(木) 本会議 質問
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内容
会議録
令和7年第3回倉敷市議会(第1回定例会)
3月6日(木) 本会議 質問
日本共産党倉敷市議会議員団
末田 正彦 議員
1 地球温暖化対策について
2 「こども誰でも通園制度」について
3 イノシシ対策について
◆34番(末田正彦 君) (拍手) おはようございます。日本共産党倉敷市議会議員団の末田 正彦です。
通告に従い順次質問いたします。
質問の1項目めは、地球温暖化対策について3点質問いたします。
政府は2月18日に、第7次エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画、GX2040ビジョンを閣議決定いたしました。最初に、この国の計画に対する本市の見解をお伺いしたいと思います。
閣議決定されたこの計画からは、温室効果ガスの大幅削減に背を向けて、脱炭素とは名ばかりの原発・石炭火力維持温存の従来システムへの執着が見えてきます。2040年度の電源構成を見てみますと、火力発電については、前回計画時のできる限り電源構成に占める比率を引き下げるとの方針から、非効率な石炭火力を中心に減らしていくという表現に置き換わるなど、依然として火力発電に依存し、3割から4割程度と維持、温存する立場を表明しています。
そして、G7で唯一廃止期限を表明していない石炭火力発電を、安定供給性や経済性に優れた重要なエネルギー源などとしています。原子力発電については、依存度低減から最大限活用へとかじを切り、2割程度とはしておりますけれども、それは稼働基数で30基程度となり、現在再稼働している14基の2倍以上です。さらに、同時に閣議決定したGX2040ビジョンでは、新規建設をも盛り込んでいます。東京電力福島第一原発事故の教訓を投げ捨てるものであり、言語道断です。最優先で取り組むべき再生可能エネルギーについては、最優先の原則を削除し、最大限の導入を促すとして、4割から5割程度と低く見積もっています。
地球温暖化対策計画では、削減目標について、国連に提出する国別削減目標を公表し、2035年度削減目標として2013年度比で60%削減を示しました。それは、国連が基準としている2019年比に換算すると54%程度の削減にとどまっています。IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)は、2019年比60%削減を示しています。日本は甘い目標になっています。
このように、第7次エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画、GX2040ビジョンでは、温室効果ガスの大幅削減に背を向け、国連から求められている削減目標に対し、消極的で後退したものと言わざるを得ません。どう考えているのか、市の見解をお伺いいたします。
○議長(荒木竜二 君) 外村環境リサイクル局長。
◎環境リサイクル局長(外村博之 君) 末田 正彦議員さんの御質問にお答えさせていただきます。
今年2月に国が閣議決定した第7次エネルギー基本計画では、再エネを主力電源として最大限導入するとともに、天候に左右される再エネ発電能力の不安定さを調整する電源として、一定規模の火力発電を維持するとともに、今後の国内における電力需要の高まりに対して安全性の確保を大前提に、原子力発電も必要な規模を持続的に活用することで電力の安定供給を図るとしております。
これら国内の電源構成の在り方については、国で議論すべきものと考えております。本市といたしましては、引き続き再エネの最大限の導入に努めてまいります。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 原発は安全性の確保を大前提にと言われましたけれども、福島第一原発の事故を見てみますと、即時停止とするのが本当にいいことじゃないかと思っておりますし、電源構成について、国で決めるものということでありますけれども、やはりしっかりと市が自主的に倉敷市の排出特性を見ながら決めていかなければならないと思っております。
それでは、この項の2点目ですが、IPCC第6次評価報告書・統合報告書とクールくらしきアクションプランとして質問します。
まず、2030年度の削減目標についてお尋ねいたします。
本市の温室効果ガスの削減目標ですが、議長の許可を得て資料を提示しております。資料1を御覧ください。
これは、温室効果ガスの排出状況と目標を示しています。本市のクールくらしきアクションプランでは、このグラフにありますが、2013年度を基準として2030年度、33.9%削減としています。
一方、IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)が世界に求める温室効果ガスの削減目標は、この報告書によりますと2019年を基準として2030年では43%削減が必要としています。そこで、本市の削減目標を2019年度基準に置き換えると、2030年度では23%の削減にすぎません。世界に求められている目標とあまりにも乖離していると言わざるを得ませんが、どうお考えか、市の見解をお伺いします。
○議長(荒木竜二 君) 外村環境リサイクル局長。
◎環境リサイクル局長(外村博之 君) 本市は日本有数の工業地帯である水島コンビナートを有していることから、産業部門からの温室効果ガスが市全体の約8割を占めており、2050年度ゼロカーボンシティくらしきの実現に向けては、将来の技術革新、いわゆるイノベーションの加速が欠かせないものと考えております。
本市の2030年度の温室効果ガス排出目標については、まずは現在の技術を最大限活用することで2013年度比で33.9%の削減を目指しておりますが、イノベーションがより早く実現することでこの目標を上回った削減も可能になるものと考えております。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 33.9%の目標が低いのではないかという私の指摘でありましたけれども、それには答えがありませんでしたが、イノベーションが早く加速するという期待をされているようですが、なかなかそうはならないというのが研究者の発言だと僕は思っています。
それでは、先ほど局長が言われましたイノベーションの問題についてお聞きします。
次に、イノベーションの加速による削減についてお尋ねします。
2050年度でのゼロカーボンシティの実現には、先ほど言われたようにイノベーションの加速が鍵ということになっていますが、資料2を御覧ください。
これは、それを模式化した図面ですけれども、この図のピンク色の部分がイノベーションの加速による削減ということになっていますが、本市が想定しているイノベーションとはどのような技術の内容なのか、またそのイノベーションがもたらす温室効果ガス削減効果などの実効性について本市はどのように考えているのか、見解をお示しください。
○議長(荒木竜二 君) 伊東市長。
(市長 伊東 香織君 登壇)
◎市長(伊東香織 君) カーボンニュートラルの実現に向けたイノベーションとしましては、政府が示している主なものとして、2050年のグリーン成長戦略、最近ではペロブスカイト太陽電池、これに大変大きく力を入れていくとされております。
また、製鉄分野は倉敷市にも大きく関わってまいりますけれども、水素還元製鉄の技術開発、そして実際の導入などにつきましても、今後大きな取組を行っていくとされております。もちろんこれまでの電気自動車や洋上風力発電、そして倉敷市でも旭化成さんと一緒になって現在実証実験を行っておりますけれども、バイオガスからのバイオメタンの分離ということで、高純度の分離で、これが日常生活の中から非常に貴重な熱源を分離していくということでの世界的な実験にもなっておりますので、そういうものなど一つ一つのものが積み重なっていくということがあると思います。
最初に申し上げたような政府自身が非常に力を入れているもの、そして各企業、各分野で開発が進められているもの、そのようなものが積み重なっていく中で、これまで以上の効果が上がっていくと考えておりますので、そういうものにも期待しながら、また倉敷市でもできるところについては実証実験等、一緒になって行っていくことで排出削減に向けて取り組んでいきたいと考えております。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 市長から水素の還元とかバイオメタンの分離とか、様々なこと、世界的な実験をしている、積み重なって実現していく、期待をしているということでした。そのイノベーションの加速で、2050年ゼロカーボンシティを目指すということになっているのですけれども、そういった新しい技術を今後どう担保していくのかという見通しはあるのでしょうか。再質問させてください。
○議長(荒木竜二 君) 外村環境リサイクル局長。
◎環境リサイクル局長(外村博之 君) 国がグリーン成長戦略を策定されており、企業側も温暖化への対応ということで成長への機会と捉えるということで、様々な分野で既に多くの企業が脱炭素化に取り組まれておりますので、市としてはイノベーションに期待しているところでございます。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) イノベーションに期待するということで、本当に実現可能性が高いのかどうなのかは、やはりなかなか分からないというのが実態だと思うんです。だから、私は2030年度の目標をもっと大きく引き下げない限りは、現実的になっていかないのではないかなと思っていますので、申し上げておきたいと思います。
それでは、この項の3点目に移りますが、公益財団法人水島地域環境再生財団の提言からお尋ねいたします。
岡山県では2009年度から温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の運用を始めました。それは、県内の温室効果ガス大量排出事業者が、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、排出量の削減に向けた具体的な取組計画を作成、実施するとともに、その内容を県が公表することにより、事業者の事業活動に伴う温室効果ガス排出量削減の取組を推進することを目的とするものと聞いております。
私ども日本共産党は、岡山県議団が2011年以降、毎年この制度の評価と提言を公益財団法人水島地域環境再生財団に依頼し、提言書をまとめています。この提言書でございます。これは担当課にもあると思います。
この提言書には、倉敷市の温暖化対策にとって参考になる点が書かれてありますので、2023年度版の提言書の中から数点お尋ねし、見解を求めたいと思います。
まず、2027年度までの排出予測から検証するとしてお尋ねいたします。
資料3を御覧ください。
提言書の中のコピーですけれども、左ページの図の2の7を御覧ください。
これは、岡山県内の温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度対象事業者の削減目標達成時の温室効果ガス排出総量を推計しています。推計の方法は、右ページの上段に書かれておりますから御一読ください。赤線を引いておりますけれども、この推計を基にすると、2030年の大幅な排出削減、2050年の排出実質ゼロを展望することは不可能であると、さらに下段にありますが、排出削減を加速するのは難しいであろうと、こう書いてあります。
岡山県の排出特性はそのまま倉敷市の排出特性を反映したものであり、倉敷市ではむしろ顕著となっているわけですから、2050年排出ゼロへの展望として、本市のゼロカーボンシティは果たして実現できるのか、その展望はあるのか、市の見解をお聞かせください。
○議長(荒木竜二 君) 外村環境リサイクル局長。
◎環境リサイクル局長(外村博之 君) 本市は、クールくらしきアクションプランにおいて、市全体での温室効果ガス排出量は現在の技術を最大限に活用し、2030年度に2013年度比で33.9%の削減、またイノベーションの加速により2050年度でゼロカーボンシティの実現を目指すとしております。
2050年度に向けてはイノベーションが鍵となっており、ペロブスカイト太陽電池や水素、燃料用アンモニアの活用など、早期の実現に期待しているところでございます。
本市といたしましては、こうしたイノベーションの動向を注視するとともに、市内立地企業と連携することでイノベーションの創出に努めてまいりたいと考えております。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) クールくらしきアクションプランに書かれているとおりの答弁だったのですけれども、やはり岡山県の排出特性、倉敷市の排出特性を見ると、どこを一番取り組んでいかなければならないかは一目瞭然だと思うんです。この提言書に書かれているとおり、大口排出量の削減ですね。予測を見てみても、この間、まるで減っていない。この間もそうです、削減は進んでいません、あまりね。ここをどうするかということを本当に考えてもらいたいと思っているんです。
次に、脱炭素社会に踏み出すための提案を行いたいと思います。
まず、大口排出事業者に対する対策についてですけれども、現在、排出削減について岡山県、倉敷市においても行政と事業者の間での協定はありません。個々の事業者の自主行動計画任せになっているのが実情です。
例えば、一番の大口排出事業者であるJFEスチール株式会社の温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度での排出削減計画書、岡山県に提出している資料があるのですけれども、これを見てみますと、目標削減率設定の基本的な考え方の中で、弊社では全国に展開する全事業所のベストミックスで温暖化対策を推進しており、不確定要素が多い中、事業所ごとに生産量、生産構成、CO2排出量目標値を設けておりませんと、ちょっと聞きようによっては居直りとも言えるような考え方が示されています。そして、この自主計画は達成が制度的に担保されているわけでもありません。いかがなものでしょうか。
倉敷市全体、また岡山県全体で2050年排出実質ゼロでありますから、市内や県内事業所の総和も排出実質ゼロにしなければいけないと思っており、大口排出事業者は、個別にも排出実質ゼロと考えるのが妥当ではないかと思います。この削減計画を実効性のあるものにするためには、やはり自治体と個々の事業者が2030年の削減率の協定、また2050年排出実質ゼロの目標の協定を結ぶことが必要と考えますけれども、見解をお示しください。
○議長(荒木竜二 君) 外村環境リサイクル局長。
◎環境リサイクル局長(外村博之 君) CO2を一定規模以上排出する事業者は、国や県に対して毎年排出量を算定し、報告する制度が義務づけられております。また、報告の際には今後の排出削減に向けた計画の策定も求められており、これらは全て公表されるため、事業者に着実な取組を促す仕組みとなっております。
また、国が2026年度から本格導入させる排出量取引制度では、一定以上のCO2を排出した場合は負担金の支払いを求めるなど、さらなる排出抑制を目指すこととしており、本市といたしましては、こうした国の動向を注視してまいりたいと考えております。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 大口排出事業者の規制がやはり一番大切だと思うんです。そういったことで国も今度キャップ・アンド・トレード制度を考えているんですけれども、県に出している報告書を少し紹介したいんですよ。
これはJFEスチールの分ですけれども、昨年度、令和5年度の排出量の報告書を出しています。このときの目標が基準年度令和4年度、このときには1,800万トン、令和9年度の目標が2,046万トンとなっているんです。増える目標を立てているんです。令和5年度は1,808万9,000トンという結果になっています。それで、目標削減率が、令和4年度と令和9年度を比べるとプラス13.7%の目標を設定しているんです。令和5年度は令和4年度に比べてプラス0.4%にとどまっているということで、これで目標達成ということになっているらしいんですね。こういう目標の設定を大口排出事業者はやっているわけです。これではいつまでたっても排出は減っていかないというのが水島財団の指摘です。そこをやはりもっと本気で考えて取り組まないと、いつまでたっても倉敷市の排出量は減っていかないと思っているんです。
最後に意見を申し上げておきます。先ほど局長も言われましたけれども、キャップ・アンド・トレード制度の導入が問題です。政府はGX2040ビジョンで、2026年度から、一定の排出規模以上の企業は業種を問わず一律に参加させると言いました。本格稼働するとしていますけれども、今議会、田口議員の代表質問に、国の導入制度内容を確認したいと御答弁されておりました。国の制度設計が国際水準のものになっているのか、また導入スピードが1.5度目標の実現のタイムラインに整合しているのかどうなのか、しっかり確認して実施に向けて取り組んでもらいたいと思っています。
本市においては、産業部門の温室効果ガスの排出割合が80%であり、2050年排出実質ゼロを実現するためには、先ほどから言いましたけれども、とりわけ大口排出事業者の排出削減が決定的です。市として大口排出事業者に毅然として対峙してもらいたいと、そのことを強く申し上げておきたいと思います。
さて、岡山県は再生可能エネルギーの資源に恵まれて、とりわけ太陽光発電が再エネ普及促進に大きな可能性を持っています。乱開発を避けて、地域主体が優先して設置する対象として、建物屋根設置と営農型太陽光発電について今日はお尋ねしたいと思います。
まず、営農型太陽光発電についてですけれども、営農型太陽光発電とは、農地に支柱を立てて、上部空間に太陽光パネルを設置し、営農を継続しながら発電を行う取組で、作物の販売収入に加えて発電電力の自家利用などによる農業経営のさらなる改善が期待できるとされています。
昨年の2月議会では、国も検討会などを通じて実証実験、研究開発を進めているところ。今後とも国などの動向を注視すると答えられていました。市内においても導入事例があるようですけれども、現状も含めて営農型太陽光発電についての本市の考えをお示しください。
○議長(荒木竜二 君) 松浦文化産業局参与。
◎文化産業局参与(松浦宏 君) 営農型太陽光発電につきましては、太陽光パネルの下でも適切な営農を継続し、発電と両立させることを条件にパネルの設置を許可しております。
具体的には、栽培する作物が地域の平均的な収量と比較し、2割以上減収しないことなどを条件としており、本市におきましては平成30年度から令和4年度までに5件の設置実績がございます。しかしながら、令和6年10月に発表された国の調査結果によれば、令和4年度末までに設置、稼働中の設備数の約2割におきまして、その下部農地の作物の生育不良など、営農に支障があったと報告されております。そのため、営農型太陽光発電の普及促進につきましては、関係部局と連携し、慎重に検討を進めてまいりたいと考えております。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 収量が落ちたという報告があったとお聞きしましたので、そこはしっかりと市もできる限りの支援をしていただいて、進めていく方向もぜひ検討してもらいたいと思います。
次に、建物屋根設置の太陽光発電を推進する策の一つとして、初期投資ゼロの仕組みの構築についてお尋ねしたいと思います。
家庭での再エネ導入を進める上では、高額な初期費用が重荷となって、既存住宅への太陽光発電普及のネックとなっています。そこで、行政や金融機関、また事業者などで初期投資ゼロから始められる仕組みの構築が有効と考えています。
平成23年の11月議会で、私は長野県飯田市での取組を紹介いたしました。初期費用0円で太陽光パネルを設置して、10年間月々定額の料金を支払い、11年目以降、パネルは住宅所有者のものになるというものです。住宅への太陽光発電普及に有効な手段と考えているのですけれども、本市の考えをお示しください。
○議長(荒木竜二 君) 外村環境リサイクル局長。
◎環境リサイクル局長(外村博之 君) 各家庭での太陽光パネルの設置については、個人が直接太陽光パネルを購入する方法に加えて、初期費用ゼロで設置できるPPAモデルの手法があります。本市では、これまでも広報紙等でPPAモデルを紹介しており、既存の仕組みでの対応を考えております。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 私の家にも太陽光パネルはついていないんですけれども、初期投資がやはり気になって、なかなか踏み出せないというのが実情なんです。やはり誰かが中心となってこういう枠組みをつくるような提案をしていただいて、協議会などを設けて進めていただかないとできないと思うので、ぜひ市のほうでそうした取組を進めるきっかけをつくって、始めていただきたいと思いますので、要望しておきます。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員、この際申し上げます。
質問の途中でありますが、ここで休憩いたします。再開は11時10分からの予定です。
午前10時57分 休 憩
~~~~~~~~~~~~~~~
午前11時10分 開 議
○議長(荒木竜二 君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
34番 末田 正彦議員、質問項目2番から質問を再開してください。
◆34番(末田正彦 君) それでは、質問の2項目めは、「こども誰でも通園制度」についてお尋ねいたします。
こども誰でも通園制度は、保育所等を利用していない生後6か月から2歳までの全ての子供を対象に、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず、時間単位等で柔軟に利用できるとされた制度です。
私は、昨年の2月議会で、利用時間は月10時間までが利用可能枠とされているが、果たしてこうした利用状況で子供一人一人の心身ともに健やかな成長と発達を保障することができるのか。保育所保育指針解説には3歳未満児の子供は安定した保育士との関わりの中で成長していくことが示されている。周囲の環境に自ら能動的に働きかけ、有意義な経験を獲得するには、その場にいる人々との安定的で持続的な関わりが不可欠、月10時間利用で国が言うように社会情緒的な発達への効果的な影響など、成長、発達に資する豊かな経験をもたらすことは本当に可能なのかと、危惧する点を申し上げてきました。今回、拙速な制度導入はすべきでないという立場から、今後の取組などについて5点質問いたします。
まず、令和7年度の取組について。
令和8年4月からの本格実施に向けて、令和7年度はどのような取組を行っていくのかお尋ねいたします。
○議長(荒木竜二 君) 森保健福祉局長。
◎保健福祉局長(森吉晴 君) こども誰でも通園制度の令和8年4月からの本格実施に向け、国は今年1月に、施設や職員配置の基準などを定めた、乳児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準を示しました。
今後、施設の利用予約などを行うこども誰でも通園制度総合支援システムの運用開始、運営費の給付に関する基準を定める内閣府令の制定、適切に事業を実施する上で必要となる事項をまとめた手引の作成、事業に従事する保育士向けの研修資料の公表などを行う予定と伺っております。令和7年度の本市の取組につきましては、今後詳しい内容が明らかになった後、関係条例の整備など、順次準備を進めることとなります。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 次に、令和8年度の本格実施についてお尋ねします。
こども誰でも通園制度の本格実施を見据えた試行的な事業が113自治体で行われて、岡山県においても4市で実施されました。
本市は試行的事業に参加はしていませんが、令和8年度の本格実施に当たって倉敷市立の保育所や認定こども園での本事業の実施については検討されるのかどうなのか、お尋ねいたします。
○議長(荒木竜二 君) 森保健福祉局長。
◎保健福祉局長(森吉晴 君) こども誰でも通園制度の本格実施に向けて、現在市内の民間の認可園が加盟する倉敷市民間保育所協議会や倉敷市私立幼稚園協会と、実施時期や実施方法などにつきまして意見交換を継続しているところでございます。
今後、民間施設に対して事業実施の意思や受入れ可能な人数などを確認する調査を行うこととなります。この調査の結果等を踏まえて、関係団体との調整を行った上で対応を検討してまいりたいと考えております。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 次に、事業運営の形態についてお尋ねいたします。
こども誰でも通園制度には、一般型と余裕活用型の事業形態がありますけれども、主にどちらの形態での実施を現段階で考えているのか、お尋ねいたします。
○議長(荒木竜二 君) 森保健福祉局長。
◎保健福祉局長(森吉晴 君) 国が定めた基準によると、事業運営の形態には一般型と余裕活用型の2種類がございます。
一般型は、通常保育の保育室とは別に専用スペースを設置するなどして子供を預かる形態で、余裕活用型は、保育施設の定員に空きがある場合、定員の範囲内で子供を預かる形態となっております。
また、国からは、保育需要が高く待機児童が発生しやすい地域では一般型による実施を、保育需要が比較的少ない地域では余裕活用型による実施を検討するよう示されております。
本市における事業形態の在り方につきましては、実施地区を考慮しながら、関係団体とも協議してまいります。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 次に、現場の声、課題についてお尋ねいたします。
実際に、こども誰でも通園制度の導入に当たって一番不安を感じておられるのは現場の保育士さん、先生方だと思っています。これまでの本市議会での答弁や今回の代表質問の答弁でもございましたが、倉敷市民間保育所協議会や倉敷市私立幼稚園協会など、関係団体と意見交換しながら、現場の声を丁寧に聞き取っているとお伺いいたしましたが、実際にどのような意見、課題が出ているのか、またこれに対してどのように対応しようとしているのか、お尋ねいたします。
○議長(荒木竜二 君) 森保健福祉局長。
◎保健福祉局長(森吉晴 君) 関係団体や各園からは、保育者不足の中で新たに開始されるこども誰でも通園制度への対応は困難である、通常保育と比べて保育者が日々の子供の様子や特徴を把握することが難しいのではないか、利用時間の上限が月10時間と短いため子供が園に慣れるのに時間がかかり、それに対応する保育士の負担が増大するのではないかなど、多くの意見を伺っております。
また、現在実施されている試行的事業の状況を見て、保育士の人件費などを十分に賄えるだけの運営費が措置されるのかとの懸念も示されております。
保育所などで通常保育の在園児と、こども誰でも通園制度の利用児童を保育する上では、保育士の確保や業務負担の軽減、保育の質の担保が、これまで以上に必要となるなどの課題があるため、こども家庭庁が主催する自治体説明会などにおきまして、引き続き国に対して意見を伝えてまいります。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 今の答弁では、本当に心配事だらけと受け止めさせてもらいました。
次に、こども誰でも通園制度に携わる職員についてお尋ねいたします。
まず、職員の資格についてですが、保育士の資格を有していない者も、研修の受講など一定の条件下でこども誰でも通園制度に携われるとしています。本当にそれでいいのでしょうか。子供の大事な命を預かっていることを、国はあまりにも簡単に考え過ぎているのではないかと思います。保育の質の低下につながるゆゆしき問題だと言わざるを得ません。職員は保育士をもって充てるべきと考えますが、本市ではどのように考えているのか、お示しください。
○議長(荒木竜二 君) 森保健福祉局長。
◎保健福祉局長(森吉晴 君) 国の基準によると、こども誰でも通園制度におきまして保育に従事できる職員は、保育士または特定の専門研修を終了した者となります。また、配置する職員のうち、半数以上を保育士とする必要があるとされております。
国は、保育士不足の中で本事業を実施するために、保育士以外に特定の専門研修を受けた職員を配置することを認めているものと思われますが、保育の質を確保するためには、基本的に保育士が従事することが望ましいと考えております。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 保育士従事が望ましいと考えていることはいいと思っています。それは、もう本当に当たり前のことだと思います。
次に、職員配置についてお尋ねします。
こども誰でも通園制度に携わる職員については、2名の職員配置が基本となっておりますが、保育所等と一体的に運営する場合には特例が適用されるとしています。職員配置に対する本市の考えをお聞かせください。
○議長(荒木竜二 君) 森保健福祉局長。
◎保健福祉局長(森吉晴 君) こども誰でも通園制度の職員の配置基準につきましては、保育所などにおける通常保育と同様に、預かる子供の年齢ごとに人数が定められており、預かる子供の数が少ない場合であっても、最低2人の職員を専従で配置することとされております。
余裕活用型の場合は、保育所などにおける通常保育の職員配置により実施しますが、一般型のうち保育所などと一体的に事業を運営する場合は、こども誰でも通園制度に係る専従職員を1人とすることができる特例が設けられております。
市といたしましては、適切な事業運営が行われ、安全な保育が提供されるよう、施設の認可や指導監査の際には、部屋の配置や職員の支援体制などについて確認するとともに、認可権者として必要な指導などを行うことになります。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 次に、保育士の確保についてお尋ねします。
保育所などの通常保育はもちろんのこと、こども誰でも通園制度の保育の質の向上を図るのであれば、今まで以上に保育士の確保が必要だと考えますが、市としてどのように保育士確保に取り組んでいくのか、お示しください。
○議長(荒木竜二 君) 森保健福祉局長。
◎保健福祉局長(森吉晴 君) こども誰でも通園制度の開始に当たりましては、引き続き質の高い保育の確保、充実を図るとともに、保育需要の状況を把握しながら安心、安全な保育の実践につながるよう、これまで以上に保育士確保対策などの取組の継続に努めてまいります。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 再質問をちょっとしたいのですけれども、現場の声を先ほど答弁されましたけれども、保育者不足の中でなかなか対応が困難だとか、通常の保育に比べて子供の日々の様子、特徴を把握するのが難しいとか、利用時間が短いから子供が園に慣れるのに時間がかかる、保育士の負担が増大する、運営費のことも言われておりました。聞いておりますと、本当に現場からの不安の声、そして子供にとってもどうなのかと。安全の確保の問題、また制度設計の問題、導入費用の問題など、そういったことを考えたら制度導入を見送る選択肢もありなのではないかとも思えるんですよね。
具体的には先ほど言ったとおりで、倉敷市民間保育所協議会や私立幼稚園協会からも課題が多くて慎重な対応を求めるというような声も上がっているので、私は制度導入を見送って、現在実施している一時保育の充実と拡充で対応すればよいではないかと思っているんです。
先ほどの答弁を聞いても、本当に心配なことばかりが前面に出ていますので、ここはやはりどうなのかと、制度導入は見送ってもいいのではないかと思うのですけれども、市長、また保育行政に造詣の深い生水副市長もおられますので、感想的に話すことができれば御意見を求めておきたいと思いますが、どうでしょうか。
○議長(荒木竜二 君) 生水副市長。
◎副市長(生水哲男 君) 感想的にということで御指名いただきました。これは、こども家庭庁が全国的に開始しようとして考えている制度でございまして、ずっと何度も議員さんからも御質問をいただいて、保健福祉局も答弁しておりまして、いろいろ課題は確かにあると私も思っています。かといって、国もこれを積極的に進める方向でしておりますので、これまでも職員がこども家庭庁にも、こういう課題がありますなどいろいろな意見も言ってはおります。そういう中で少しずついろいろなことを国も考えてくれているようではございますが、まだちょっと今の段階でどうという答えはなかなかできないものですから、今日答弁したように、いろいろと課題も探りながら、国へも意見もお伝えしながら、今後の状況をもう少し見詰めていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 拙速な制度導入はなさらぬように、賢明な判断をされるように要望して、この質問は終わりたいと思います。
最後に、質問の3項目めに移りますが、イノシシ対策について質問いたします。
近年イノシシが農地だけではなくて家庭菜園や、またあるいは市街地へも出没するようになり、本議会においても多くの議員から対策を求める質問が出されています。私も玉野市の対策実施例を紹介して、市街地への出没防止、市民生活を守る観点から質問を行ったものです。
イノシシの被害を減らすには、地域ぐるみで総合的に取り組むことが効果的だと言われており、そうした考えから、今回の当初予算案に専門家と連携して地域ぐるみで対策に取り組むための経費が計上されていると認識しておりますし、一歩前進ではないかと思っています。
防止対策としては、1つ目、イノシシを集落に寄せつけない環境管理、2つ目が防護柵で囲う、3つ目として適切な捕獲ということが上げられていると思います。そして、イノシシの習性をよく知ることが大切だと言われています。今回は、その中から防護柵設置に対する補助要件の拡充、緩和についてお尋ねしたいと思います。
本市の補助事業は1,000平方メートル以上の農地に限られていますが、現在要望が多いのは、小規模な農地や家庭菜園への侵入防止柵設置に対する支援です。
そこで、近隣他市の補助内容を調べてみました。少し紹介しますが、笠岡市は全面を囲って周囲25メートル以上であること。四角に囲うと約12坪ほどの農地になります。浅口市は柵の延長が50メートル以上であること。また、井原市も柵の延長が50メートル以上であることとなっており、現在、申請地の約8割が家庭菜園であると担当者の方からお聞きいたしました。
このように、小規模な家庭菜園も補助対象にしています。本市においても、このような小規模な家庭菜園も、農地、農業を守る多様な形態の一つと捉えていただいて、補助できるように制度の拡充、緩和を検討してもらいたいと考えますけれども、答弁をいただけたらと思います。
○議長(荒木竜二 君) 松浦文化産業局参与。
◎文化産業局参与(松浦宏 君) 本市では、農業の鳥獣被害防止対策として、農地を囲う侵入防止柵の設置に対して補助金を交付しており、農業者の経費負担の軽減を目的に、1,000平方メートル以上の農地を補助対象として取組を進めております。
1,000平方メートル未満の小規模農地や家庭菜園への防護柵の設置につきましては、被害防止効果が限定的となることから、補助制度の拡充については現在のところ考えておりません。
一方で、市街地出没が増加傾向にある現状におきましては、市街地を含む、より広域での取組が求められていることから、令和7年度には、新たに地域ぐるみでの被害対策支援事業の実施を予定しております。この取組は、山際等への防護柵を設置し、イノシシが山から出てこないような対策を進めるもので、その効果が発揮され、市街地出没が減少すれば、家庭菜園などの被害防止にもつながるものと考えております。
○議長(荒木竜二 君) 末田 正彦議員。
◆34番(末田正彦 君) 令和7年度で地域ぐるみでの支援の事業、出てこないようにということで、玉野市の事例を紹介させていただいて、参考にしていただいたのではないかなとも思っております。そういった事業も進めながら、その中でもそうした小さい農園とか家庭菜園にも目を向けて、専門家の方から意見を聞いて進めていってもらえば、市民の方も喜ぶのではないかと思いますので、皆さんよろしくお願いしたいと思います。
お願いをして、この質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
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