令和7年第3回倉敷市議会(第1回定例会)
3月10日(月) 本会議 質問
公明党倉敷市議団
薮田 尊典 議員
1 用水路等転落事故防止対策について
2 温もりあふれる健康長寿のまちづくりについて
◆25番(薮田尊典 君) (拍手) 皆さんおはようございます。公明党倉敷市議団の薮田 尊典でございます。今議会では、2項目にわたり通告させていただいております。最後までよろしくお願いいたします。
それでは、通告に従いまして進めさせていただきます。
初めに、用水路等転落事故防止対策について4点質問させていただきます。
私はこれまでの議会において、7回にわたり用水路転落事故の問題を取り上げてまいりましたので、その背景について少し説明させていただきます。
岡山県では、平成25年から平成27年にかけて1,143件の用水路転落事故が発生し、79名が亡くなる全国ワースト1位となり、新聞やメディアで多く報じられました。この問題を指摘したのが、倉敷中央病院救命救急センターの市川医師でございます。市川医師は、岡山県の地形や環境が背景にあり、地元では安全柵のない用水路が当たり前とされている点を指摘いたしました。倉敷市でも、平成25年からの3年間で468件の用水路転落事故が発生し、25名が命を落とされております。
そこで、本市では、平成28年10月に倉敷市用水路等転落事故防止対策連絡会議を設置し、警察、消防、道路管理者、水路管理者、教育委員会など、17の関連部署が連携して対策を進めてこられました。具体的には、転落防止柵の設置や危険箇所の情報共有、注意喚起など、ハード、ソフトの両面からの総合的な取組が行われ、これまでに作業部会を19回開催し、消防の救急出動データの分析や有効な対策の検討が行われてきました。
議長のお許しを得て資料を添付しております。資料1を御覧ください。
本市では、令和元年から約2,000か所の危険箇所を抽出し、昨年の質問では、1,800か所で対策が進められているとの答弁をいただきました。市内を巡ると、新たに設置された転落防止柵や視線誘導標が確認でき、着実な安全対策の進展を実感しております。
本市では、これまでに10億4,210万円を投じて用水路の転落防止策を実施してきました。その結果、救急出動件数は167件から90件へと減少いたしました。
そこでお伺いいたします。
令和6年の、用水路等への転落による救急の出動件数と死亡者数についてお聞かせください。
○議長(荒木竜二 君) 堀越建設局長。
◎建設局長(堀越信宏 君) それでは、薮田 尊典議員さんの御質問にお答えさせていただきます。
令和6年の市道から用水路等への転落による消防の出動件数は113件、そのうちお亡くなりになった方は6名となってございます。
○議長(荒木竜二 君) 薮田 尊典議員。
◆25番(薮田尊典 君) 事前に確認させていただきましたので、資料に記載しております。昨年度と比較して、転落事故による救命救急出動件数が90件から113件へと、23件増加していることが懸念されます。
この項2点目、現在の対策の進捗状況について。
令和7年度も、交通安全施設整備事業として2億2,923万円が計上され、そのうち最後の重点対策費として6,100万円が充てられる予定です。
そこでお伺いいたします。
令和2年度に抽出した約2,000か所の危険箇所の重点整備が、来年度で最終年度となりますが、令和6年度までに整備を見込む箇所、及び重点整備完了予定の転落防止柵と視線誘導標の各延長についてお聞かせください。
○議長(荒木竜二 君) 堀越建設局長。
◎建設局長(堀越信宏 君) 令和元年度に岡山県が策定いたしました用水路等転落事故対策ガイドラインに基づきまして、本市が各地域の農業土木委員や警察、消防、教育委員会などの協力を得て抽出した重点対策が必要な約2,000か所のうち、令和6年度末までに約1,950か所、延長にして約115キロメートルの整備が完了する予定でございます。そのうち、転落防止柵が約33キロメートル、視線誘導標が約82キロメートルとなっております。
なお、残りの箇所につきましては、令和7年度に行う予定としております。
○議長(荒木竜二 君) 薮田 尊典議員。
◆25番(薮田尊典 君) 重点対策が必要な約2,000か所のうち今年度末までに1,950か所、それから総延長のことを言っていただきました。整備が完了する予定とのことでございますけれども、本来であれば、これに伴い、救急出動件数は減少することが期待されますが、昨年度は転落事故による救急出動件数が増加し、ここ数年間では100件を下回っていたものの、再び増加傾向が見られます。この状況を踏まえ、原因究明と追加の対策が必要であると感じております。
そこで、この項3点目、高輝度蓄光を利用した道路びょうの設置について。
用水路転落事故は、特に高齢者が被害に遭うケースが多く、夕暮れどきや日没後の時間帯に多く発生する傾向にあります。これまで事故件数は減少傾向にありましたが、昨年度の転落事故による救急出動件数は113件で、前年度と比べて23件増加しており、市民の安全が脅かされる状況となっております。
しかし、全ての用水路に転落防止柵を設置することは、現実的ではありません。また、視線誘導標のブルーマーカーは、深夜の歩行時にライトの光が当たらなければ反射せず、水路の境目が分かりにくいという課題があります。このような状況を踏まえ、転落事故防止のための追加の対策が求められます。
近年、用水路転落事故防止対策の一つとして、高輝度蓄光材を用いた道路びょうが注目されています。
資料2を御覧ください。
この上の2つが、現在本市で使用している反射道路びょう、通称ブルーマーカーと、右側がデリネーターポールでございます。そして下側が、先ほど言いました高輝度蓄光材を用いた道路びょうの例となります。この技術は、昼間の光を蓄え、夜間に発光することで視認性を高め、転落事故のリスクを低減するものです。2024年2月には、岡山市南区の芳明小学校通学路に試験設置されています。
日没後の暗闇を移動することは、不安や恐怖、心理的ストレスが伴います。また、防犯や防災、交通安全の観点からもリスクが高まります。市内には、このような暗がりの空間が数多く存在しますが、その全てに街路灯を設置することは現実的に困難であります。こうした課題を解決するために開発されたものと聞いております。
そこでお伺いいたします。
岡山市では、高輝度蓄光材を用いた非電力による道路びょうを試験設置しております。本市も、このような新しい技術の導入を検討し、市民の安全確保に努めるべきと考えますが、本市の見解をお聞かせください。
○議長(荒木竜二 君) 堀越建設局長。
◎建設局長(堀越信宏 君) 高輝度蓄光を利用した道路びょうは、昼間に光を蓄え、夜間に発光することで視認性を高めるものでございます。
本市におきましては、用水路等の転落事故防止対策として、令和3年度に同様の道路びょうを試験的に設置しましたが、思いのほか発光時間が短いことや暗いなどの課題があり、その後の新たな設置は見送っているところでございます。
引き続き、今後開発される新技術につきましても試験施工などにより効果を確認し、その導入を検討するなど、市民の安全確保に努めてまいりたいと考えております。
○議長(荒木竜二 君) 薮田 尊典議員。
◆25番(薮田尊典 君) 発光時間が短く、暗いという課題があるとのことでございますが、設置を見送るのではなく、安全対策としての可能性を引き続き模索することが求められていると思います。
私の知人が昨年末、街灯のない暗い用水路に転落し、翌朝に発見されましたが、残念ながら、お亡くなりになりました。
用水路への転落事故は、特に視界が悪くなる夜間、街灯のない場所で多く発生しています。岡山県の用水路等転落事故対策ガイドラインによれば、夜間の転落事故の78%が街灯のない箇所で発生しており、水路境界が不明確なことが転落事故の一因と考えられます。
また、救急搬送の通報時間は18時をピークに20時までが多く、この時間帯は中学生や高校生が部活動や塾から帰宅する時間とも重なります。この時間帯において、高輝度蓄光材を用いた道路びょうは、メーカーによれば最大12時間の発光が可能であり、徐々に暗くなるものの、日没後4時間程度の帰宅時間には十分な視認性を提供すると考えられます。
そこで、デリネーターポールと高輝度蓄光材を用いた道路びょうの併用設置を、ここでは要望させていただきます。
依然として、用水路への転落事故が減少せず、むしろ増加傾向にあります。特に夜間の視認性が低い用水路沿いの道路や歩道では、デリネーターポールと高輝度蓄光材を用いた道路びょうの併用設置を検討してはと思います。
現在、本市では、デリネーターポールが設置されている場所にはデリネーターポールのみ、視線誘導標のブルーマーカーが設置されている場所にはブルーマーカーのみの設置となっています。しかし、デリネーターポールは、用水路が冠水した場合でも境目を認識しやすいという利点がある一方で、ブルーマーカーは、単品では水没時に用水路の境目が分かりにくくなるという課題がございます。これらの対策を組み合わせることで視認性が向上し、市民の安全性が高まることが期待されます。特に大雨時には、用水路が冠水し、その境界が不明瞭になることがありますが、デリネータポールと高輝度蓄光材を用いた道路びょうを併用設置することで、夜間や悪天候時でも視認性を確保できると考えられます。
以上の理由から併用設置を、ここでは要望させていただきたいと思います。
この項4点目、今後の用水路等転落事故防止対策の推進について。
来年度で約2,000か所の重点整備が最終年度となりますが、地域を回る中で、依然として転落するおそれのある危険箇所が存在していると感じております。
重点整備完了後の対策について、市の方針を伺います。
○議長(荒木竜二 君) 堀越建設局長。
◎建設局長(堀越信宏 君) 来年度で、重点対策が必要な約2,000か所の整備は完了する予定でございますが、その後も、地域や消防、警察、教育委員会などからの要望や情報提供によりまして、地元の皆様の御意見も伺いながら必要な対策を行ってまいりたいと考えております。
また、倉敷市用水路等転落事故防止対策連絡会議を通じて、関連部署と連携し、広報車やSNSによる啓発活動などのソフト対策につきましても、引き続き行っていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○議長(荒木竜二 君) 薮田 尊典議員。
◆25番(薮田尊典 君) 安心しました。倉敷市が、約2,000か所の重点対策を来年度までに完了予定でありますが、その後も市民や関係機関からの要望を基に、必要な対策を継続するとの答弁をいただきました。ちょっと安心させていただきました。
倉敷市内の用水路は、総延長約2,100キロメートルに及びます。本市では、来年度までに約2,000か所の重点対策を完了する予定でございますが、これで全ての危険箇所への対応が完了するわけではございません。市民の命と安全を守るために、引き続き市民や関係機関からの要望を基に必要な安全対策を継続的に実施し、総合的な取組をしていただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、2項目めに移り、温もりあふれる健康長寿のまちづくりについて3点お伺いいたします。
初めに、帯状疱疹ワクチン定期接種化について。
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によって生じる疾患で、痛みを伴う皮膚の水疱が神経に沿って現れます。特に高齢者や免疫機能が低下している方々に多く見られ、合併症として帯状疱疹後神経痛があり、日常生活に支障を来すこともあります。特徴として、50歳以上の罹患率が高く、70代がピークになり、80歳までに約3人に1人が発症するおそれがあります。
これまで帯状疱疹ワクチンの接種は、全額自己負担の任意接種であり、高額な費用がかかることが課題となっていました。生ワクチンは約1万円、不活化ワクチンは約4万円とされ、私も一般質問で、本市での帯状疱疹ワクチンの助成について質問しましたが、国の動向を見てとの答弁でございました。
また、公明党としても、接種費用の負担軽減を目指して、国会質問や政府への提言を通じ、接種費用を公費で助成する定期接種化を一貫して主張してきました。その結果、厚生労働省は2024年12月18日、帯状疱疹ワクチンを2025年4月から定期接種化する方針を了承しました。これにより、原則65歳以上の方を対象に、1回接種の生ワクチンまたは2回接種の不活化ワクチンが公費で助成されます。また、経過措置として、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳の方も対象となります。この定期接種化により、高齢者の皆様が帯状疱疹を予防しやすくなり、健康維持と生活の質向上に寄与することが期待されます。
そこで、帯状疱疹ワクチン定期接種において対象者への通知方法についてお伺いいたします。
帯状疱疹ワクチンの定期接種開始に際し、対象の方への通知をどのように行うのか、特に高齢者や免疫機能に障がいを持つ方への周知方法についてお聞かせください。
○議長(荒木竜二 君) 吉岡保健福祉局参与。
◎保健福祉局参与(吉岡明彦 君) 帯状疱疹ワクチン定期接種の対象者のうち、令和7年度に65歳以上で対象となる方につきましては、6月中に接種の御案内を個別に通知する予定です。また、愛育委員による地区回覧、市の広報紙やホームページ、倉敷市公式アプリによるプッシュ通知などにより、広く周知してまいります。
なお、60歳以上65歳未満でヒト免疫不全ウイルスによる障がいがある方については、市が個別に把握できないため、治療を受けているかかりつけ医から、接種対象となる場合にはお知らせしていただくこととなります。
○議長(荒木竜二 君) 薮田 尊典議員。
◆25番(薮田尊典 君) 対象者への個別通知や広報活動を通じて、丁寧な周知が図られる点は評価させていただきます。特に、医療機関との連携により、必要な方へ適切に情報が届く仕組みは重要だと感じております。
次に、医療機関や地域団体との連携による情報提供の強化について。
市内の医療機関や地域の高齢者団体と連携し、帯状疱疹ワクチン定期接種に関する情報を共有、提供する取組が重要と考えます。
そこでお伺いいたしますが、市内の医療機関や地域の高齢者団体と連携し、帯状疱疹ワクチン定期接種に関する情報を共有、提供する取組が重要と考えますが、御見解をお聞かせください。
○議長(荒木竜二 君) 吉岡保健福祉局参与。
◎保健福祉局参与(吉岡明彦 君) 帯状疱疹ワクチンの定期接種を開始するに当たり、接種医療機関に対しては、この3月下旬に帯状疱疹ワクチンの接種に関する説明会を実施し、またその中で啓発用ポスターの掲示もお願いする予定です。
さらに、倉敷市愛育委員会連合会を通じたチラシの地区回覧を行うとともに、高齢者支援センター等にもチラシを提供して、必要な方に情報が届くよう努めてまいります。
○議長(荒木竜二 君) 薮田 尊典議員。
◆25番(薮田尊典 君) 医療機関への説明会やポスター掲示、地域とのネットワークを活用した周知など、接種の促進につながる取組を期待しております。
それでは、この項2点目、最後の質問でございます。歯周病検診について。
厚生労働省は、令和6年度以降、健康増進法に基づく自治体の歯周疾患検診の対象年齢を拡大し、20歳と30歳を追加する方針を発表いたしました。これにより、従来の40歳以上の対象者に加え、20歳と30歳の方々も国の費用補助を受けて検診を受けられるようになります。
歯周病は、虫歯と並ぶ口腔内の2大疾患の一つであり、日本人の成人の多くが罹患しています。特に20歳から30歳の若年層においては、歯周病の初期段階である歯肉炎が多く見られ、適切なケアを怠ると進行して歯周炎となり、最悪の場合、歯を失う原因となります。
昨年6月の議会で、私が歯周病検診の対象年齢拡大について質問し、令和7年度から20歳と30歳へ拡大する予算が計上されております。この取組については、高く評価させていただきます。
厚生労働省の令和4年歯科疾患実態調査によれば、進行した歯周病を有する者の割合は、15歳から24歳で17.8%、25歳から34歳で32.7%、35歳から44歳で34.7%と、若年層でも高い割合で歯周病が見られます。
この背景には、若年層の歯科検診受診率の低さが上げられます。この1年間に歯科検診を受けましたかという質問に、受けたと答えた人の割合は全体で58%でしたが、30歳から50歳未満の働き盛りの男性において、特に低い傾向が見られました。このような状況を踏まえ、20歳と30歳の方々への歯周疾患検診の拡大は、若年層の口腔健康の維持、向上に寄与し、将来的な歯の喪失リスクを低減することが期待されております。
そこでお伺いいたします。
倉敷市の歯周病検診が20歳と30歳にも拡大されましたが、受診率向上が課題です。忙しい世代への周知や受診しやすい環境整備が必要ですが、市としてどのような啓発、受診促進策を講じるのか、お聞かせください。
○議長(荒木竜二 君) 伊東市長。
(市長 伊東 香織君 登壇)
◎市長(伊東香織 君) 歯周病は、糖尿病など全身の病気との関連も報告されておりまして、その対策は、健康寿命の延伸を図る上でも大変大切であると考えております。
そこで、令和7年度から歯周病検診の対象を、これまでの40歳、50歳、60歳、70歳の方に加えまして20歳、30歳にも拡大し、市内の歯科医療機関で受診していただけるようにしているところでございます。対象となる方には、5月末に受診券を送付し、受診勧奨を行っていきたいと思っております。
また、今回新たに歯周病検診の対象となります20歳、30歳の方々につきましては、大学、また企業などへもポスター掲示をお願いしてまいります。それから、若い世代の方も多く行かれるような商業施設等での啓発イベントを行うなど、歯科医師会とも様々に連携しまして、周知、啓発を図っていきたいと考えているところでございます。
○議長(荒木竜二 君) 薮田 尊典議員。
◆25番(薮田尊典 君) 歯周病と全身疾患の関係を踏まえた対象年齢の拡大に加えて、大学や企業、商業施設を活用した多面的な啓発は、非常に効率的な取組であると感じております。若年層の受診率向上を期待するとともに、温もりあふれる健康長寿のまちにつながることを期待しております。
以上で私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)