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令和7年第4回倉敷市議会(第2回定例会) 6月6日(金) 本会議 質問
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内容
会議録
令和7年第4回倉敷市議会(第2回定例会)
6月6日(金) 本会議 質問
公明党倉敷市議団
中西 善之 議員
1 倉敷市のデジタル化について
◆16番(中西善之 君) (拍手) 皆様こんにちは。公明党倉敷市議団の中西 善之でございます。
それでは、通告に従いまして、一問一答の方式にて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、1項目めとして、倉敷市のデジタル化について4点お伺いいたします。
まず1点目は、市民の利便性向上に資するデジタル化の取組についてです。
今年度、国においては、新しい地方経済・生活環境創生交付金(デジタル実装型)が新たに創設され、デジタル技術を活用した地域課題の解決や、暮らしやすさの向上に向けた取組が各地で進められております。本市においても、この交付金を活用し、書かない窓口や公共施設予約システムといった、日常生活における市民の利便性を高めるデジタル化施策が、いよいよ動き始めると伺っております。
特に書かない窓口については、さきの2月議会において市長から、国に申請を提出しており、認定され次第、準備を進めていく。今年の秋頃からシステムの稼働を見込んでいるとの答弁をいただいております。また、公共施設予約システムについても、従来の紙や電話を前提とした手続から、オンラインで簡単に予約が可能になることで、市民の利便性が大きく向上するものと期待しているところでございます。これらの施策は、単なるデジタル化にとどまらず、今後、AIやチャットボットといった先進技術との連携を見据えた、業務改革や行政サービスの質的向上にもつながる重要な基盤整備であると考えております。
そこでお伺いいたします。
本市が現在進めている書かない窓口及び公共施設予約システムについて、それぞれ現時点での進捗状況を具体的にお聞かせください。
○副議長(藤井昭佐 君) 伊東市長。
(市長 伊東 香織君 登壇)
◎市長(伊東香織 君) それでは、中西 善之議員さんの御質問にお答えいたします。
倉敷市では、国の新しい地方経済・生活環境創生交付金を活用して、デジタル技術の導入による市民サービス向上に向けた取組を進めているところでございます。前回の議会の御質問でも申し上げましたけれども、そのとき申請をしておりましたが、その後、市からの申請も通りまして、無事に準備を進めているところでございます。
まず、書かない窓口では、マイナンバーカードなどを専用の端末にかざすことで、機械のほうが認識しまして、氏名、住所等の基本情報を印字した申請書が作成できるという申請書作成支援システムを、本庁、各支所の市民課や税務事務所などの窓口に合計で30台設置したいと考えております。なるべく早く導入してまいりたいと思っており、現在、この取組を進めているような状況でございます。
また、公共施設予約システムでは、窓口に来ることなく、スマートフォン等から施設の空き状況の確認、予約、さらには使用料の支払いがキャッシュレスで行っていただけるようになります。こちらにつきましては、文化施設、スポーツ施設など利用頻度の高い39施設に、大体10月頃から順次導入していけるのではないかと思っているところでございます。
いずれにいたしましても、なるべく早く進んでいけるように国に申請しました。また、もちろん条件を満たしながら取り進めていきたいというふうに考えております。
○副議長(藤井昭佐 君) 中西 善之議員。
◆16番(中西善之 君) 書かない窓口について、非常に多くの施設で導入可能ということ、また少し早く導入できそうだということで、非常に心強く感じました。また、公共施設予約システムについても、キャッシュレス対応を含めて、市民の利便性が大きく高まることを期待しております。今後の運用におきましては、誰もが使いやすい環境づくりと、導入後の効果検証も含めた継続的な改善に取り組んでいただければと思っております。ありがとうございます。
続いて、2点目、AI技術を活用した市政の高度化と市民サービスの向上について3つ、順にお尋ねいたします。
この項目では、AIの技術を行政の現場でどう生かしていけるかという観点から、まず基本的な考え方と、それを取り巻く社会環境の変化について触れた上で、質問させていただきたいと思っております。
今、AIの進化は目をみはるほどのスピードで進んでおります。かつては専門家だけが扱うものでしたが、今は誰でも気軽に使えるようになり、文章の要約や情報整理にとどまらず、悩みを相談する相手として使われるようにもなってまいりました。特に若い世代では、AIに不安を打ち明けたり、気持ちを整理するといった使い方が、既に日常の一部になりつつあります。人には言えないことでもAIには話せるという感覚が、自然と広まってきている。そういった現状でございます。
こうした状況を前に、行政がAIをどう使っていこうかと悩んでいるだけでは、時代に取り残されてしまうおそれがあります。技術の世界では、こんなことができたらなと思っていたことが、気づいたら、もう実現されているということが次々と起こっております。今のAIは、まさにその象徴でございます。ですから、使えるようになってから考えるのでは遅く、まだ夢物語のように思える段階から試してみることが大切だと感じております。先に一歩踏み出しておくことで、本当に必要になったときにすぐ動き出せる。そうした先取りの行政が、今求められているのではないでしょうか。
AIは、全てを代わりに判断するものではありません。むしろ人の思考を支え、議論を深め、より誠実で責任ある判断へと導く存在です。行政がAIとどう向き合うかは、単なる業務効率化の話ではなく、市民との向き合い方そのものに関わる大きなテーマだと私は考えております。
それでは、具体的に質問に入らせていただきます。
まず、1つ目の質問です。業務の効率化と市民サービスの充実に向けたAI活用についてお伺いいたします。
先ほど来申し上げているとおり、AI技術の進化は行政現場にも本格的な変化をもたらしつつあります。こうした流れを受け、全国各地ではAIを実務に取り入れ、業務効率化と市民サービス向上の両立を図る取組が始まっております。
神戸市は、全国に先駆けてAIの活用等に関する条例を制定し、リスク評価や最終判断者の明確化といった運用ルールを制度的に担保しております。
名古屋市、京都市では、AIチャットボットによる仮想窓口を整備し、24時間365日、市民の問合せに自動対応する仕組みを導入しております。
町田市では、バーチャル市役所ポータルまちドアにおいて、生成AIと3Dアバターを組み合わせたAIナビゲーターを導入し、手続名が曖昧でも、背景や意図を酌み取って担当部署を案内できる環境を、24時間提供しております。
これらの事例からは、AIが単なる自動化やコスト削減にとどまらず、市民との対話の質を高める知的な補助ツールとして機能しつつあることが明らかです。無論、AIにも限界がございます。情報の正確性や共感、謝罪など非言語的な対応は、依然として人が担う領域でございます。特に苦情対応のように繊細な場面では、人とAIの連携が欠かせません。だからこそ、全てをAIに任せるのではなく、人の力を補うAIとしてどう設計し、どう生かすかが今問われていると考えております。
そこでお伺いいたします。
本市として、今後を見据えたAI活用をどのように進めていくお考えでしょうか。実証事業も含めた取組方針と現時点での課題認識について、御見解をお聞かせください。
○副議長(藤井昭佐 君) 杉岡企画財政局長。
◎企画財政局長(杉岡知裕 君) AIとは、人工知能の略称であり、コンピューターが人のように考えたり学んだりして、仕事や問題解決を手助けする技術のことです。
現在本市においては、手書きや印刷物の文字情報をデジタルデータに変換するAI-OCR、文書作成や情報収集などを補助する生成AI、会議等の音声を自動でテキスト化し、議事録作成を支援するAI議事録などを導入し、活用しております。
AIの活用におきましては、個人情報や著作権の保護、生成された文書の正確性などの課題がございますが、こうした課題に留意しながら、今後は業務の効率化だけでなく、市民サービスの向上につながる様々な活用を図ってまいりたいと考えております。
○副議長(藤井昭佐 君) 中西 善之議員。
◆16番(中西善之 君) 本市でも、既にAI-OCRや生成AI、議事録作成支援など、様々なAIツールを実務に取り入れ、現場での効率化や負担軽減に取り組んでおられる点については、非常に前向きな姿勢だと受け止めました。その上で、今後さらに重要になるのは、いかにスピード感を持ってAIと付き合っていくかではないかと思います。AIの進化は目覚ましく、半年後には新しい活用の可能性が見えてくるかもしれません。だからこそ、今ある課題に対応するだけでなく、先を見据えた実証的な取組を今のうちから進めておくことが、今後の行政運営にとって非常に大切だと思っておりますので、さらに加速的な取組を進めていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
続いて、2つ目の質問です。いじめや不登校支援におけるAI活用の可能性についてお伺いいたします。
いじめは、子供の心と命を深く傷つける重大な人権侵害であり、早期の気づきと継続的な見守りが不可欠です。しかし、実際には、誰にも相談できないと悩みを抱えたまま孤立し、苦しんでいる子供たちが少なくありません。こうした現状を踏まえ、AIを子供たちに寄り添う見えない相談相手として活用する動きが始まっております。
千葉県柏市では、小・中学生がタブレット端末から、いじめや悩みを入力できるAI相談窓口が試験的に導入され、外部相談よりも10倍以上の利用実績が報告されております。
人には言えないことも、AIには言えるとの声も寄せられ、重大事案の未然防止に一定の成果を上げています。一見無機質に見えるAIも、否定されない、せかされない、きちんと聞いてくれると感じられる特性を持ち、対話の中で安心感を与える存在になり得ることが示されております。感情を持たないからこそ、感情を否定せず受け入れられるという特性が、子供たちの心の壁を下げ、相談の第一歩となる可能性が注目されております。いじめへの対応だけでなく、不登校やひきこもりといった課題においても、AIとの対話が最初の接点として機能する可能性があります。言葉にして伝えることが難しい状態でも、AIに対してなら思いを話せる。そのような対話環境が、自己回復の第一歩につながるのではないでしょうか。
近年では、音声や表情、言葉のニュアンスから心の状態を読み取るAI技術も進展しており、自然なやり取りを通じて支援へつなげる基盤が整いつつあります。もちろん、AIだけで全ての問題を解決することはできません。重要なのは、AIを通じて得られた兆しを、人がどう受け止め、適切に行動へとつなげるかにあります。
現在、倉敷市でも1人1台端末を活用し、子供たちの心の状態を把握する取組が始まろうとしておりますが、ここにAIを組み合わせることで、これまで見えなかった心の声が浮かび上がる可能性もあります。それは、不登校やひきこもりといったより深刻な孤立への対応においても、有効な手がかりとなるのではないでしょうか。技術の進展を、やらない理由として留め置くのではなく、どうすれば生かせるかという観点で、今こそ積極的に検討すべき局面を迎えていると考えられます。
そこでお伺いいたします。
いじめや不登校などの悩みを抱える子供たちの支援に向けて、AIを相談相手として活用し、人による支援につなげる体制づくりについて、本市はどのようにお考えでしょうか。
○副議長(藤井昭佐 君) 仁科教育長。
◎教育長(仁科康 君) 倉敷市教育委員会では、いじめや不登校で悩む子供たちが電話や面接、メール等で相談ができるよう、倉敷教育センター、指導課、青少年育成センターに教育相談窓口を設置しております。
また、学校では、定期的な教育相談やアンケートを実施しながら、相談者に直接寄り添った対応に取り組んでおります。
さらに、先ほど議員さんのお話にもありましたが、令和7年度から1人1台端末を利用した心の健康観察を実施しており、児童、生徒が端末に入力した心の状態を複数の教職員が確認し、必要に応じて声かけや教育相談をするなど、ICTを効果的に活用しながら、児童、生徒の心の変化に気づくことができるように努めております。
児童、生徒の教育相談へのAIの活用につきましては、他の自治体の取組などの情報を収集し、その有効性や課題等を検証しながら、活用方法を研究してまいります。
○副議長(藤井昭佐 君) 中西 善之議員。
◆16番(中西善之 君) いじめや不登校に悩む子供たちのために、既存の相談体制や心の健康観察の取組が進められることについては、大きな一歩だと受け止めております。その上で、今まさに問われているのは、そうした既存の取組にAIという新たな技術をどう組み合わせ、これまで届かなかった子供たちの心にどう寄り添えるかという観点ではないでしょうか。
今の若い世代にとってAIは、決して特別な存在ではなく、既に日常の一部になりつつあります。事実として、チャットGPTなどを使って勉強の質問だけでなく、恋の悩みや人間関係の不安、将来への迷いなど、心のうちを自然と打ち明ける流れが既に生まれています。人には言えないけれど、AIになら話せるという感覚は、既に多くの若者の中に根づいています。そうした現実の中で、AIを相談相手として活用できるか、これから研究しますと言っている間に、時代は確実に先へと進んでしまいます。技術の進化は待ってくれません。そして、その変化に誰よりも敏感なのは子供たち自身です。だからこそ、私たち大人が、AIはまだ早いのではと慎重になるあまりに、必要な支援のタイミングを逃してしまうことだけは避けなければなりません。
今必要なのは、できない理由ではなく、どうすればできるかを考え、まず一歩を踏み出すことだと私は思っております。未来の技術を今の子供たちのためにどう生かすか、その姿勢とスピード感こそ、今行政に求められていることではないでしょうか。どうか子供たちの声に一歩でも近づくために、AIの活用について前向きに御検討いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
続いて、3つ目の質問です。政策合意形成におけるAIの活用と、論点の可視化の可能性についてお伺いいたします。
政策をつくる上で最も難しく、同時に大切だと感じるのは、様々な意見をどう整理し、納得できる形にまとめていくかという点です。市民の声は多様で、一方で、行政側には法制度や予算といった制約もあります。全ての方に納得いただける結論に導くのは、非常に繊細で難しい作業でございます。現実には、意見が対立して話合いが進まなくなったり、結論が出ないまま止まってしまうことも少なくありません。そうした中で近年注目されているのが、AIの力を借りて論点を整理し、意見の構造を見える化するという取組です。
AIは、ある政策に対する賛成、反対の意見が、それぞれどんな価値観や前提に基づいているかを分析し、図表などの形で分かりやすく示すことができます。単に意見を並べるのではなく、どこに擦れ違いがあるのか、どこに共通点があるのかを整理して見せることで、対立の中にも理解のきっかけを生み出す技術です。実際にこうした取組は、既に幾つかの自治体で始まっております。
例えば、京都市では、市民から寄せられた約1万5,000件の声を生成AIで分析し、主要な論点を整理した資料を作成、市の総合計画を議論する場で活用されております。静岡県では、子供や若者の声約2,000件をAIで分類し、こども幸せプランの検討資料に生かされました。
共通しているのは、AIが結論を出すのではなく、人と人との対話を支える土台として使われているという点です。つまり、AIは意見の整理役として、対立を対話に変えるツールとして活用されているということです。こうした取組は、今や鎌倉市、日野市、木更津市などを含む70以上の自治体に広がっております。国全体でも関心が高まっており、デジタル庁は自治体向けの支援ツールの整備を進め、総務省も活用ガイドラインの策定を始めるなど、AIの補助的な活用が国としての方向性となりつつあります。
私がここで特にお伝えしたいのは、AIは決して人間の代わりに判断するものではなく、人の考えや判断を支える存在だということです。膨大な情報の中から、見落とされがちな視点や共通点を整理して提示してくれることで、最終的な判断を、より丁寧に分かりやすく説明できるようになります。例えば、住民説明の場でも、どんな意見があって、それをどう受け止め、どう判断したのかを、AIの整理を基に説明できれば、理解や納得につながるはずです。これは、説明責任の強化につながるとも考えます。
そこで、最後にお尋ねいたします。
政策決定のプロセスにおいて、AIによる論点整理や賛否の見える化を活用し、合意形成や説明責任の強化に役立てることについて、本市としてはどのようにお考えか、御見解をお聞かせください。
○副議長(藤井昭佐 君) 杉岡企画財政局長。
◎企画財政局長(杉岡知裕 君) 国においては、行革AI活用プロジェクトを設置し、今年度からAIを政策立案の補助に活用するための検証を開始したところでございます。
また、本市では、AIが膨大な情報を分析し、論点整理が可能であることを踏まえ、昨年度から生成AIの活用を全庁的に開始しております。
これまで実施した職員向けアンケートでは、アイデア出しや業務効率化に有効であるという回答が多く寄せられました。AIは、業務における補助的な役割であり、個人情報や著作権の保護、生成された文書の正確性などの課題を踏まえた上で、政策立案に係る論点の整理などへの活用について、今後考えてまいりたいと思います。
○副議長(藤井昭佐 君) 中西 善之議員。
◆16番(中西善之 君) 生成AIを活用した論点整理や市民意見の可視化に前向きな姿勢を示していただいたことを、心強く受け止めました。
今、社会はますます多様化し、意見の違いは避けられない時代にあります。だからこそ、対立を否定するのではなく、違いの中に共通点を見いだす技術が、これからのまちづくりには欠かせないと感じております。AIは、声の大きい人の意見だけではなく、数としては少なくても大切な声、気づかれにくい声にも光を当てることができます。そして、その整理した情報があることで、私たちは、なぜこの政策なのか、誰の声が反映されているのかを、より正確に伝えられるようになります。市民の納得を得られる説明ができること、それこそが民主主義の土台だと考えております。どうか本市においても、AIによる判断ではなく、人が納得して判断するための土台としてのAIという位置づけで、先行事例を学びながら、モデル事業などの実践的な取組を一歩ずつ進めていただくよう強くお願い申し上げ、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
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