令和5年第3回倉敷市議会(第1回定例会)
3月3日(金) 本会議 代表質問
青空市民クラブ
齋藤 武次郎 議員
1 異次元の少子化対策
(1)国、県の少子化対策、子育て支援に対する評価と期待
(2)倉敷市の異次元の子育て支援
2 学校の人手不足解消
(1)学校の講師不足解消にどのように取り組むのか
(2)インクルーシブ教育、発達障がいや不登校の児童生徒への支援
(3)保護者対応
(4)GIGAスクール構想の推進
3 人口減少対策と公共交通対策
(1)鉄道の利用促進
(2)バス路線の維持
(3)タクシー活用
(4)子育て世帯の移住
4 真備地区の復興
(1)真備地区復興の創造期の取り組み
(2)災害伝承館の設置
◆34番(齋藤武次郎君) (拍手)青空市民クラブの齋藤 武次郎です。会派を代表して通告に従い、順次質問いたします。最後の質問者となりました。お疲れとは思いますが、最後までよろしくお願いいたします。
さて、今年3月で退職される職員の皆様には、長年にわたり市民の皆さんのために御尽力をいただきましたことに対しまして、会派を代表して衷心より感謝申し上げたいと思います。
西日本豪雨災害、コロナ対応と、終盤では言葉で言い尽くせないほどの激務であり、大変なお仕事であったと思います。その任務を遂行された皆さんは、自信と誇りを持って次のステージへ進んでいただきたいと思います。これからも健康に御留意いただき、さらなる御活躍を御祈念申し上げたいと思います。
それでは、質問通告1点目の異次元の少子化対策についてお尋ねいたします。
なお、議長のお許しをいただき、今回の質問全体を通じて会派の政務活動で得た質問内容に関係したデータを随時配信、提示していきたいと思いますので、御参照いただければ幸いでございます。
岸田総理は、子供関連予算を倍増し、異次元の少子化対策に挑戦すると表明されました。
また、伊原木県知事も、子供関連施策について、できることは全てするという強い思いで全力で取り組んでまいりますと述べられました。
子供の最善の利益が保障される子供ファーストを基本的な政策、理念に掲げる私たち青空市民クラブといたしましては、思いは同じで、歓迎するとともに、大いに期待するところでございます。
しかし、国や県の政策だけでは、子育てするなら倉敷でと言われるまちの実現は難しいと言わざるを得ません。明石市や流山市、岡山県内では奈義町のように、独自の思い切った子育て支援政策を展開し、成果を上げている自治体もあります。
倉敷市の現状を見ると、昨年の青空市民クラブの代表質問で、ゼロ歳から4歳の人口が減少していることを指摘させていただきましたが、この1年間でさらに減少しています。
また、総務省の2022年人口移動報告によりますと、倉敷市は転出者が転入者を801人も上回る転出超過になっていることが判明いたしました。中でも、ゼロ歳から4歳の転出超過が昨年の112人よりさらに多くなり、172人でありました。ただ、それ以上に深刻なのは、ゼロ歳から44歳で合計983人もの転出超過となっており、子供と子育て世代の若い世代の流出が顕著になったと言わざるを得ません。
少子・高齢化が進む中で、子供や若年層の人口減少、人口流出は深刻な問題であります。子育て支援の充実等、子育て世代に住みよいまちづくりが一層求められます。子育てするなら倉敷でと言われるまちを実現していくためには、他の自治体も随分子育て支援策を拡充している中、倉敷市も異次元の子育て支援策を展開していく必要があると思います。
さて、子ども医療費助成については、令和5年7月から中学生通院分を無償化対象に拡大する予算案が提案されましたことを高く評価したいと思います。一方で、岡山市は令和6年1月から高校生に拡大する意向が示されました。このままでは、倉敷の子ども医療費助成は県下で最低レベルとなってしまいます。県との交渉は今後とも粘り強く行っていきながら、子ども医療費助成のさらなる対象拡大を図っていただきたいと思います。
ただ、その反面、医療費負担については、日本のどこに住んでも平等であるべきだと思います。子ども医療費助成で都市間競争することで本当によいのでしょうか。会派としても、医療費負担については国が責任を持つべきだと考えており、市長と考えを同じくするものであります。昨日と本日の市長答弁でも言われておりましたが、ぜひとも市長の強いリーダーシップで全国の地方自治体と協力して国に強く求め、実現していただきたいと思います。
国の子供・子育て予算倍増をはじめとする今回の国や県の取組についての市長の評価と期待をするもの、市としての独自の新たな子育て支援、倉敷市としての異次元の少子化対策に取り組むお考え、決意についてお尋ねいたします。
次に、質問通告2点目の学校の人手不足解消についてお尋ねいたします。
今学校現場は慢性的な人手不足であります。現行の教員定数だけでは適正な学校運営は困難で、これまでに倉敷市も支援員の配置、教師業務アシスタントの配置等を行っていただいています。それでもなお慢性的かつ深刻な人手不足であります。
その上、文部科学省の調査によれば、令和3年5月時点で全国の学校に配当されている教員定数に達していない教員不足の状況は、小学校が0.26%、中学校は0.33%という結果でした。
全国で教員不足の状況が続いている一方で、教員を志望する人の数は減少傾向にあります。平成12年度の公立学校教員採用選考試験の倍率は13.3倍でありましたのに対し、令和3年度の倍率は3.8倍で、教員志望者の数はこの20年間で明らかに減少しています。
このような状況の中、教員配置は県教育委員会の責任と言うだけでいいのでしょうか。教員が不足している原因には、特別支援学級の増加等に伴う必要な教員数の増加や、講師等の非正規教員への依存、教員の成り手の減少や育休取得の浸透、過重労働等による病気休暇の増加も上げられております。教員の処遇改善も必要だと思います。
また、産休代替の教員の予算がついても、その人員を見つけることができず、欠員のままになっている事例もよく耳にします。文部科学省は、令和5年度から産休・育休代替教員を年度途中からの採用が困難なため、公立小・中学校の産休や育休の代替教員を4月当初から配置できるよう加配の運用を見直す方針を明らかにされています。確かに、年度途中から採用することに比べれば、4月から1年間勤務できるようにすれば、採用はよりできるようになるとは思います。しかし、予算が増えるわけでなく、運用の見直しだけなら、教員数が増えるわけではありません。
例えば、産休、育休の代替教員が増え、その代わりに専科教員が減ったのでは意味がありません。年度初めに講師を採用するのであれば、単独県費や単独市費でも追加で講師を採用していく必要があると思います。倉敷市教育委員会としてできることは何なのかを真剣に考えなければなりません。
また、働き方改革を求めるのであれば、業務量を減らすか、人員を増やすかしなければなりません。
また、教員の仕事が魅力あるものでなければ、志望する人は増えません。そのためには、もっと一人一人の子供と向き合える環境にしなければなりません。
我々の世代は、ドラマ金八先生を見て、金八先生に憧れ、教員を目指した人も少なくないと思いますが、今のような状況では金八先生は現れないのであります。
正規の教員以外の教員の採用は、市町村の教育委員会が行っています。現場の話をお聞きすると、学校サイドで、多くは教員同士の知り合いなどのつてを頼って探していると聞いていますが、教員不足の現状でこのような方法で本当に大丈夫なのでしょうか。
現場は子供たちに教育を行う場であり、人材を探してくる場ではありません。そうかといって、マスコミ報道にあるような、採用試験の前倒し、単市での手当の給付など、まさに異次元の獲得競争がある中、学事課の職員が人事管理の片手間でやるような仕事でもありません。
そこで、提案ですが、講師や支援員など、倉敷市で働いてもらえるような教員の採用活動などを専門的に行う組織を新たにつくってはどうでしょう。
また、その組織では、採用だけでなく、離職防止にも力を入れてはどうでしょうか。現在、教員の離職率は非常に高いと聞いています。せっかく採用しても、離職してしまえば意味がありません。
昨日、市長も答弁の中で触れておられましたけれども、倉敷市では保育士不足解消のために、保育士資格を持ちながら保育所等に就労していない方や、実際に働かれている保育士の方からの相談対応等のために、保育士・保育所支援センターを開設し、特に離職防止に力を入れており、全国の優良事例となっているとお聞きしています。せっかく倉敷市にはそのノウハウがあるのですから、ノウハウを生かすべきです。
確かに、採用は県かもしれませんが、倉敷市の学校で働きたいという教員を増やすためにも、このような組織を立ち上げてみてはどうかと思いますが、御見解をお尋ねいたします。
要は、倉敷市教育委員会として教員不足を解消するんだと、そういう本気度が問われていると思います。
また、県職員の教員も、退職されれば、倉敷市職員としての採用、活躍する場があるのではないでしょうか。校長、教頭だけでなく、退職教員が活躍できるような職種をつくって、倉敷市職員として働いてもらってはどうでしょうか。
教員不足に対する認識と今後の取組について、御見解をお尋ねいたします。
次に、インクルーシブ教育、発達障がいや不登校の児童生徒への支援についてお尋ねいたします。
障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶインクルーシブ教育の推進が求められる中、特別支援学級から通常学級へ移籍する児童、生徒が増えたり、特別支援学級を希望しても認められなかったり、通級指導教室を利用する児童、生徒が増加しています。
インクルーシブ教育を推進するためには、特別支援学校や特別支援学級、通級指導教室等で経験を積んだ特別支援教育に対して理解とスキルを持つ教員を、担任や教務主任等と兼務するのでなく、各校にインクルーシブ教育推進に専念できる人員を配置する必要があるのではないでしょうか。
そこで、資料5の1を御覧ください。
倉敷市内の小学校では、令和元年度をピークに、特別支援学級数も、特別支援学級に在籍する児童数も、全児童数に占める特別支援学級に在籍する児童数の割合も減少しています。しかし、資料5の2のように、これらのデータは、国全体では常に増加傾向にあります。
また、資料6を御覧いただきたいと思います。先般岡山県が公表された令和4年度岡山県学校基本統計によると、岡山県内の15市の平均で、小学校における特別支援学級の在籍率は6.0%であります。最も高いのは美作市で10.9%、最も低いのは真庭市の2.8%であります。倉敷市は、県内15市の中で12番目、4.3%でありました。これは、倉敷市はインクルーシブ教育が推進できているとも言えますが、一方、逆の見方をすれば、本来はもっと手厚い支援が必要な子供が通常学級で十分な支援がなされていないとも言えます。
また、昨年文部科学省が発表した調査結果で、通常学級に在籍する小・中学生の8.8%に発達障がいの可能性があることが明らかになりました。不登校児童・生徒も過去最多となり、通常学級に特別の配慮やケアの必要な児童、生徒が増え、担任教員の負担がますます大きくなっていることが予想されます。担任教員のスキルに任せておいていいのでしょうか。担任教員をサポートするシステムが必要なのではないでしょうか。それに加えて、働き方改革で教員の研修時間が減っているとお聞きしています。本来ならば、教員のスキルアップのために多くの研修が必要です。研修の時間を確保するためには、教員の業務の軽減こそが求められると思います。
また、不登校対策につきましても、新たな取組が求められます。現在の別室登校には担当の教員が必要でしょうし、民間フリースクールとの連携も必要です。御見解をお尋ねいたします。
次に、保護者対応についてお尋ねいたします。
保護者対応に悩む教員も少なくありません。保護者の中には、学校に対して無理難題を言ってきたり、過度な要求をしてきたりする場合もあります。そのような対応は、学校という立場から、児童、生徒への教育的配慮が必要となります。このことが、そのような保護者への対応を難しくしている原因の一つであります。しかし、対応が難しいからといって担任任せにしてしまうと、教員が疲弊し、退職につながったり、学校にとって必要な仕事に手が回らなくなるなど、重大な問題が生じます。
最近では、保護者が学校との対応に弁護士を介入させたり、保護者対応をめぐって裁判になった事例があるとお聞きします。
保護者対応が複雑困難化する中で、教育委員会に保護者対応の専門家や弁護士等の法律の専門家を配置して、教員に専門的なアドバイスをしたり、場合によっては学校に代わって保護者に直接対応できたりするような支援体制の構築が必要ではないでしょうか、御見解をお尋ねいたします。
この項の最後に、GIGAスクール構想の推進についてお尋ねいたします。
令和5年度からパソコンの家庭への持ち帰りが全市で展開されます。ICT教育が推進されることを期待しています。
ICT教育を本格的に推進するのであれば、各学校にICT推進をサポートする専門の人材配置が必要です。令和5年度の1年間でICT教育をどの程度まで進めていくとお考えなのか、お聞かせください。
また、双方向のオンライン授業へ向けての取組、殊に不登校児童・生徒等、学校に通えない、通わない児童、生徒の学ぶ機会をどのように確保していくお考えなのか、お聞かせください。
私が新人議員の頃、先輩議員から教育費10%は聖域だとよく言われ、薫陶いただきました。しかし、残念ながら今や教育費10%確保はとても難しくなっています。教育に費用対効果はなじみませんし、何かをすればすぐに成果が出るようなものでもありません。種をまき、水をやり、それを続けて、5年、10年後、いやもっと先の将来に成果が出るものであります。その先の将来のために、今種をまき、水をやり、それを続けていかなければ成果は期待できません。ただ、芽の出ない種もあるでしょうし、花の咲かない苗、実のならない木もあるでしょう。それでも水をやり続けなければなりません。政治や行政に携わる我々は、未来のために種をまき、水をやり続ける責任があるのではないでしょうか。
私ごとで僣越でありますが、私は中学3年の1月に実家の会社が倒産して、住む家を失いました。しかし、そんな苦しい中でも、両親は生活費を削りながらも、私を高校のみならず大学まで行かせてくれました。今の私があるのは、両親のおかげと感謝しています。
このように、子を持つ親は、どんなに生活が苦しくても、子供の将来のためにお金を使います。倉敷市という地方自治体を家庭に例えれば、伊東市長はじめ我々は親であります。どんなに苦しくとも、子供たちの将来のために、倉敷市の未来のために、子供たちに、教育にしっかり投資していくべきだと申し上げ、次の質問に移らせていただきたいと思います。
次に、質問通告3点目の人口減少対策と公共交通対策についてお尋ねいたします。
この項の1点目は、鉄道の利用促進についてお尋ねいたします。
倉敷市立地適正化計画では、誰もが手軽にいつでも移動できる持続可能な公共交通網を形成することで、地域の特性に応じた様々な交通手段により移動できる町を目指します、各地域・地区の拠点や利便性の高い公共交通沿線に居住の誘導を図りますとうたわれております。
その実現のためには、公共交通の維持、充実が求められます。しかし、JR西日本が赤字路線を公表し、県北の自治体では廃線の危機を感じ、存続に向けて懸命な取組が行われています。
車社会に加えて、人口減少社会を迎え、公共交通を利用する人が減り、そのために便数が減る。それにより不便になり、より利用者が減るという悪循環であります。
公共交通維持のためには、通勤、通学等、日常的に利用する人が一定数いることが必須条件です。そのための取組が地方自治体には求められているのだと思います。現状は、全国の地方路線は危機的な状況にあると言わざるを得ません。未来に向かって倉敷市は大丈夫だと言えるのでしょうか。
倉敷市には、山陽本線、伯備線、瀬戸大橋線、水島臨海鉄道、井原線があり、とても恵まれています。この地域の宝とも言うべき鉄道を今まで以上に多くの人が利用し、未来に向かって維持されるように取組をしていかなければならないと思います。その一つとして、新しい駅をつくってはどうでしょうか。
倉敷-中庄駅間、倉敷-西阿知駅間、西阿知-新倉敷駅間、倉敷-清音駅間、倉敷市-球場前駅間、浦田-弥生駅間など、駅と駅との間が一定距離あり、かつ市街化区域で居住誘導区域であるところがあります。キャッシュレス時代でありますから、無人の簡易な駅をつくり、駅周辺の民間開発を誘導し、政策的に居住誘導を図り、恒常的な公共交通利用者を増やすことを目指してはどうでしょう。
また、条件は満たしませんが、JR山陽本線の倉敷駅と中庄駅の真ん中あたりの平田地区には、鉄道沿線に大きな市街化調整区域があります。ここに新しい駅をつくり、周辺を市街化区域に編入すれば、そこは必然的に居住誘導区域となります。新しい市街地をつくることができます。御見解をお尋ねしたいと思います。
次に、バス路線の維持についてお尋ねいたします。
最も身近な公共交通と言えば、路線バスだと思います。
これまでも市補助制度に基づき、バス路線への補助やコロナ対策による支援が行われておりますけれども、大変厳しい状況であります。単にバス路線があるだけでは十分ではないと思います。
私の自宅の前も下電バス古城池線で路線バスが運行されておりますけれども、朝の児島駅から倉敷駅に向かって3便、夕方の倉敷駅から児島駅に向かっての3便、合計6便だけであります。児島地区在住の古城池高校生が利用するための便だけと言っても過言ではありません。しかし、古城池高校があるからこそ、その路線が維持されているわけで、地域住民としては大変ありがたいことであります。このような路線は、ほかにも幾つもあるのだと思います。
そういった現状で、全ての路線に補助を増やすことは適当ではないと思いますが、居住誘導区域に集中的にバス路線維持・確保のための補助金を増やして、その地区のバス路線の利便性を高めて、居住誘導を図るべきではないでしょうか、御見解をお尋ねいたします。
この項の3点目、タクシー活用についてお尋ねいたします。
現在策定中の倉敷市地域公共交通計画において、従来のコミュニティタクシー制度に加え、地域の多様な輸送資源等の活用検討を掲げられる予定であります。コミュニティタクシー制度の支援充実や相乗りタクシーの利用拡大に向けての取組も必要だと思います。ただ、それだけでは十分だと言えません。
国土交通省が一定の区域内でのタクシー定額乗り放題を解禁する方向で調整に入ったことが報道されました。郡山市や糸魚川市等が先行事例として取り組まれておられます。
タクシー業界では、運転手不足や運転手の低賃金が課題となっており、タクシー事業の持続、継続も将来的には危惧されています。
高齢者、障がい者、免許返納者等を対象に、タクシー事業者と連携して定額乗り放題タクシー制度の導入を検討し、コミュニティタクシーの導入が困難な交通不便地域でタクシーの利用拡大を図ってはどうでしょうか、御見解をお尋ねしたいと思います。
この項最後に、子育て世帯の移住についてお尋ねいたします。
倉敷市内で人口減少率が高い地区の居住誘導区域に、子育て世帯の移住を推進する施策を展開してはどうでしょうか。
政府は令和9年度に、東京圏から地方へ1万人の移住を目指す方針を固めました。そんな中、保育所とセットになった短期移住や保育園留学が今注目されています。保育所に入所できない子育て世帯は少なくありません。庭つきの一軒家で伸び伸びと子育てをしたいという子育て世帯もおられます。しかし、経済的理由等、諸事情で諦めなければならないケースが多いのが現実であります。
例えば、児島地区のような人口減少率が高い地区の中の居住誘導区域で、空き家を固定資産税程度で市に貸してもらい、それを市がリフォームして、小学校未就学児までの子育て世帯に安価で貸し出し、その賃料でリフォーム代を補填する。そこに移住する子育て世帯は、地元の保育所に入所できるように配慮し、地域のコミュニティ活動に積極的に参加する。地元は、その移住してきた子育て世帯を積極的に受け入れ、地域交流を図り、地域コミュニティの担い手として地域で育てる。その地域が気に入ってもらえれば、子供が小学校入学時に定住してもらうような取組はいかがでしょうか。
このような取組を行うためには、単にくらしき移住定住推進室が旗振りすれば実現するわけではなく、多くの部署の連携が必要不可欠であります。
せっかく居住誘導区域を設定したわけですから、公共交通機関だけでなく、政策的にその区域に誘導するように、ありとあらゆる手を打たなければ誘導して新たなにぎわいのある居住エリアはできないのではないでしょうか、御見解をお尋ねしたいと思います。
質問通告の最後、真備地区の復興についてお尋ねいたします。
今年の7月で西日本豪雨災害から5年が経過いたします。真備地区復興計画で定められた復興期間の5年間も、令和5年度が最終年度となります。ハード面の復興は随分進んだと思います。市長はじめ、国、県、地域の皆さんの御尽力に敬意を表したいと思います。
そして、令和6年度からは創造期に入ります。ただ、いまだに不自由な仮設住宅での生活を強いられている方もいらっしゃいます。倉敷市としては、最後のお一人まで被災者の皆さんに寄り添った支援を続けていくべきだと思いますが、その決意を改めてお聞かせいただきたいと思います。
さて、資料12の表を御覧いただきたいと思います。
これは、倉敷市内の各地区別、年齢別の今と西日本豪雨直前、そして10年前の人口を比較したものです。
倉敷市全体では、10年前に比べて世帯数は9.8%増加しておりますけれども、人口は1.0%減少しております。75歳以上の方は38.5%増加しておりますけれども、ゼロ歳から4歳の方は18.5%も減少しています。少子・高齢化が進むとともに、一人暮らしの方が増加していることが分かります。
そこで、資料13で真備地区のみのデータを示しておりますので御覧いただきたいと思います。
真備地区でも、10年前と比べ世帯数は3.4%増加しておりますが、人口は10.9%減少しています。9割の方が真備に戻ってきているとよく言われますが、データもそのことを裏づけています。ただ、年齢別に見ると、75歳以上の方は46.1%も増加していますが、ゼロ歳から4歳が39.1%、5歳から9歳が26.1%、30歳から34歳が37.6%、35歳から39歳が37.7%も減少しています。まさに子育て世帯が激減していることが分かります。将来に向けて大きな危機感を感じざるを得ません。
令和6年度からの創造期は、真備地区に若者が増えるように、他の地区とは違った特別な施策、支援、配慮が必要ではないかと思います。
また、各地区のまちづくり推進協議会をはじめ、地域の皆さんの御尽力でコミュニティ活動も活発に展開されています。心からの敬意を表したいと思います。しかし、地区によっては地域集会所が再建できない地区もあり、全ての地区で以前のようなコミュニティ活動が活発になるよう特別な支援が引き続き必要だと思います。御見解をお尋ねいたします。
また、真備地区復興計画には、新たに復興記録誌の作成が追加されました。復興防災公園(仮称)内には、防災に関する展示が可能な多目的室が設置される計画であります。この大災害を後世に語り継ぐ責任は、今を生きる私たちにあります。
平成26年8月の広島土砂災害で被災された広島市安佐南区八木地区には、今年9月1日に開館予定の広島市豪雨災害伝承館が建設中であります。西日本豪雨災害を後世に伝えるためには、記録誌だけでなく災害伝承館が必要ではないでしょうか。
また、災害関連資料の収集も必要であります。市民グループの皆さんが毎年展示会などを行ってくださっています。資料は、行政だけでなく市民の皆さんが多く持たれているのではないでしょうか。この大災害を後世に伝え、これからを生きる皆さんが常に防災意識を持てるように、災害伝承館を設置する意義は大変大きいと思います。ぜひとも資料収集・保存をしっかり行い、災害伝承館を設置してほしいと思いますが、御見解をお尋ねいたします。
以上で予定の質問を終わらせていただきます。
執行部の皆さんにおかれましては、市民の皆さんに寄り添った温かい答弁を期待し、会派を代表しての質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(北畠克彦君) 伊東市長。
(市長 伊東 香織君 登壇)
◎市長(伊東香織君) それでは、青空市民クラブ代表質問、齋藤 武次郎議員さんの御質問にお答えさせていただきます。
異次元の少子化対策ということで、国や県、また市の施策なども比較しながら御説明をいただいたと思います。
まず、国や県に対する期待といいますか、どういうふうに思っているのかということでございます。国におきましては、今年4月からのこども家庭庁の創設をはじめとして、岸田総理が次元を異にする少子化対策を行っていくということで、現在検討が進められているところでございます。また、県におきましては、先般施策等も発表されておりますが、できることはしていくということでお話がございまして、また詳しい内容については明らかにはなっておりませんけれども、市としては、国や県の施策とも連携しながら、ぜひ子育て支援を行っていきたいと思っておりまして、特に先ほどもお話もございました子育て支援という面では、私どもにとりましては今回中学校までの医療費を通院分についても市の公費負担ということにさせていただきましたけれども、何度も申し上げておりますけれども、県の市への負担額が4分の1と非常に低いということがございまして、大変苦慮しているわけでございます。
一方で、今お話にもありましたが、国が本当であればこういう子育て施策の根幹というような施策については、全国一律の基準をもってしていただくべきだと思っておりまして、全国市長会等も通じながら、引き続き国に対してこの子ども医療費に対する国からの大きな支援ということをぜひ要請していきたいと考えているところでございます。
お話がありました、例えばゼロ歳から4歳のところが減っている部分、それから転入、転出の差の部分なのですけれども、お話もいただきましたので少し調べてみております。もちろん様々な要因があると思っておりますけれども、一番大きなものは、やはり第2次ベビーブームの方々の人口構成というところが、これは多分どの自治体もそうではないかと思いますけれども、大きくそのあたりの人口構成が関わっているのではないかと思います。
それから、転入、転出で、先ほど人数が多いということでございました。そこにつきまして、一応公表されているもので、同規模のようなところの転入、転出の数も調べてみましたけれども、例えば県内の他都市、もしくは同規模の近隣の都市でいいますと、比較的2,000人規模ぐらい転出のほうが多くなっているという状況もあると聞いておりまして、この理由については、総務省の人口移動報告の内容についてもより詳しく分析していかないといけないと思っておりますけれども、一つには、コロナの状況の中で様々な企業の稼働が大きく変わってきており、転出の今お示しいただきました表の中で、引っ越しされている、少なくなっている世代、やはり家族で引っ越しされているところがあるようにお見受けいたします。企業の稼働等の中で、例えば倉敷もしくは水島等の中で操業が休止をする等の状況がありましたら、今の時期は別のところへ勤めを変わっていかれるという世帯も結構多いのではないかと思っております。もちろんこれはもっとよく調べていかなければならないわけですけれども、同じような人口構成の市でも比較的同じような推移をたどっているようにお見受けしておりますので、さらに子育て政策との関係、また経済状況等の関係もしっかり見ていきたいと感じているところでございます。
いずれにいたしましても、この子育て支援に力を入れていかなければならないということは強く思っておりますし、これは倉敷市だけではなく、県や国とも一緒になって取り組んでいくべき非常に大切な、そして大きな課題であると、まず申し上げたいと思います。
もう一点、私から、真備地区のことにつきまして御答弁したいと思います。
真備地区の復興、創造期の取組についてでございます。
お話の中でもありましたけれども、ハード面、またソフト面の施策は、特にハード面につきましてはかなり順調に進んできていると思っております。
一方で、ソフト面の復興につきましては、コロナの状況ということなどもありまして、まちのにぎわいが戻るというところがなかなか苦心いたしておりましたけれども、昨年の夏あたりぐらいから、まちづくりの皆さんたち、地域の祭りや活動がかなり復興、再開してきていただいていると思っております。
一方で、まだコミュニティの中核となります地域集会所の再建も進まれていないところもございますので、市といたしましては引き続き地域集会所の復興支援の補助率等の優遇措置を続けてまいりまして、地域の活動の再開の後押しをぜひしていきたいと思っております。
そして、真備地区の人口が前と比べて1割程度減っているというところ、ほぼ9割の方が戻ってきているということでございますが、最近の状況等をいろいろお聞きいたしておりますと、もちろん真備からほかの地区へ変わっていかれている方もいらっしゃいます。そして、その後どうなっているかといいますと、最近の動きといたしましては、おうちを倒し、その後更地にされまして、そこにまた、かなりしばらくの間が空いていたりもするのですけれども、新しいおうちを建てられて、他の地区から引っ越してこられる方もだんだん出てきているように感じております。
御存じのように、真備は非常に自然も多く、住みやすい場所であると思います。災害後の治水対策が目に見える形で今進んできていることを皆さんお感じになられておりまして、その安全の確認を御自身でされながら、住みやすい場所に住んでいこうという思いを持ってくださっている方も、実はたくさんいらっしゃるんじゃないかと思っております。市といたしましては御転居された後等の土地等につきましても、ぜひ不動産業の皆さんたちとも連携しながら、転入しておうちを建てていこうという方への御紹介など、ぜひ進めていきたい、安全の状況などをしっかりお話しして御推薦していきたいと思っております。
最後に、災害伝承館のことについて御質問をいただきました。
お話にもありますように、まずは復興防災公園の建屋の中に、これは災害のときの状況や、また復興に向けての活動や住民の皆さんの活動などを展示もできる多目的室を設けることとしておりまして、いろいろな研修等にも使っていただきたいと思っております。
一方で、災害資料の収集、保存等は、当然のことながら非常に大切なものでございます。それらのことにつきまして、各まちづくりの皆さんたちとも御相談しながら、当然のことながら災害の記録、記憶というものは長期にわたり保存したり、検証したりしていくべきものであると考えておりますので、現在どのような形でこの検証、それから後世への教訓を残していくかということについて検討を行っているところでございます。
地域の皆様とよく御相談しながら、どういう形のものにしていくかは、まだお時間をちょっといただきたいと思っております。
私からは以上でございます。
○副議長(北畠克彦君) 答弁の途中ですが、ここで休憩いたします。再開は3時50分からの予定です。
午後 3時36分 休 憩
~~~~~~~~~~~~~~~
午後 3時51分 開 議
○副議長(北畠克彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
答弁を求めます。井上教育長。
◎教育長(井上正義君) 学校の人手不足解消のうち、学校の講師不足解消にどのように取り組むのかでございますが、令和4年度、倉敷市立小・中学校におきましては、年度途中に教員が産前産後休暇や病気休暇等を取得した際、代員講師を直ちに配置することができなかった学校は複数校ございます。代員の講師が配置されるまでの期間は、教務主任や担任をしていない専科教員等が臨時の担任をする等、校内で対応いたしております。
現在、倉敷市教育委員会では、令和5年度に向けまして岡山県教育委員会に新採用教職員や講師等の配置について要望しているところでございます。
教員の離職防止策につきましては、第一に勤務時間外での業務の削減に努め、働き方改革を進めることで、魅力ある職場づくりを推進し、離職の防止に努めております。
また、退職した教員や講師等を現場復帰しやすくするための市独自の取組につきましては、市のホームページや広報くらしきで講師募集を行うとともに、子育てや介護等の事情に配慮した短時間の非常勤講師や支援員等で任用を行っております。
倉敷市教育委員会といたしましては、御指摘のあった教員不足の解消につきましては大変重要な課題と捉えており、今後とも様々な取組を通しまして解決に努めてまいりたいと考えております。
次に、インクルーシブ教育、発達障がいや不登校の児童生徒への支援についてでございますが、現在文部科学省は障がいのある子供と障がいのない子供が同じ場で共に学ぶインクルーシブ教育を推進しております。倉敷市教育委員会といたしましては、発達障がいの可能性のある児童、生徒が個に応じた支援を受けながら集団での学びを実現できるようインクルーシブ教育を推進することは重要であると考えております。
現在、大学教授等の専門家や指導主事による学校訪問を通しまして、教員、支援員の専門性の向上や校内の指導体制について助言し、支援の充実を図るとともに、学校の実態を把握した上で支援員の適正な配置に努めております。
不登校対策といたしましては、倉敷市の小学校44校、中学校26校に支援員を配置し、児童、生徒の実態に合わせ、登校支援や別室での学習支援等を行っております。
民間施設との連携につきましては、大学教授、弁護士等で構成しております倉敷市学校問題支援プロジェクト事業推進会議で御意見を伺いながら、慎重に検討いたしているところでございます。
次に、保護者対応についてでございますが、倉敷市教育委員会といたしましては、保護者と学校とで共通理解を図りながら、児童、生徒の健やかな成長に向けて取り組んでいるところでございます。しかしながら、昨今教育現場を取り巻く課題は複雑化し、保護者や地域から学校に寄せられる要望や意見等も多様化しており、法律に基づいた対応が求められることもございます。
こうした状況の中、倉敷市教育委員会では平成23年度より児童、生徒の学校生活への不適応等に適切に対応し、それらに起因する不登校やいじめなどの問題、保護者等とのよりよい関係づくりの方法等につきまして、学校への効果的かつ機能的な援助を行う倉敷市学校問題支援プロジェクト事業を実施いたしております。本事業では、学校ごとの課題や相談内容に応じて、弁護士や警察、医療、福祉の関係機関の方々とケース会議を迅速に開催し、対応方針等を協議するなど、専門的立場から助言をいただいているところでございます。
また、事案によっては学校関係者が弁護士に直接相談できる体制を取っており、さらに学校だけでは解決が困難な場合には、指導主事が直接保護者と面談するなどの対応を行っております。
最後に、GIGAスクール構想の推進についてでございますが、GIGAスクール構想により整備した1人1台パソコンにつきましては、これまで主に学校の授業において活用し、今年度2学期から試行としての持ち帰りを実施してまいりました。さらに、令和5年度から全校を対象とした持ち帰りの運用を開始する予定といたしております。
また、現在倉敷市教育委員会では、ICTの専門的知識を持つ支援員を各学校へ定期的に派遣し、ICT活用による学習指導を充実させるための授業支援や、児童、生徒への個別支援などを実施し、今後も学校への支援体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、不登校児童・生徒等に対する学習機会の確保についてでございますが、これまで試行として持ち帰りを行う中で、各学校において実態に応じて不登校児童・生徒とオンラインでの相談や学習支援を行っております。
今後も不登校児童・生徒一人一人の実態が多様であることを踏まえながら、各学校の取組を基に学習支援の一つとしての効果的なオンライン活用方法について引き続き検証し、好事例を他の学校へも共有し、児童、生徒のさらなる支援につながるよう努めてまいりたいと考えております。
○副議長(北畠克彦君) 山本建設局長。
◎建設局長(山本達也君) 人口減少対策と公共交通政策のうち、鉄道の利用促進についてでございますが、新たな駅の設置につきましては、JR西日本の方針として、大規模商業施設や大学等の新設が予定されている場合など、利用者の一定数の増加が確実に見込まれることが条件とされているため、現時点では困難な状況であると考えております。
次に、バス路線の維持についてでございますが、倉敷市立地適正化計画においては鉄道駅周辺や運行回数の多いバス路線沿線など、公共交通の利便性の高い区域を基本として居住誘導区域に設定し、コンパクトなまちづくりを推進していくこととしております。
本市では、現在既存のバス路線の維持や利便性の向上のために、赤字路線のうち地域間を連絡する路線や地域内の主要な路線に対し、一定回数以上の運行が継続できるようバス事業者に補助しているところです。
居住誘導区域のバス路線については、利便性の高い運行時間帯、運行回数を確保することなどにより、バス利用者が増加し、路線の維持も図られると考えており、バス事業者の意見も踏まえながら、引き続き補助要件などについて検討を行ってまいりたいと考えております。
最後に、タクシー活用についてでございますが、倉敷市地域公共交通計画(素案)についてパブリックコメントを実施したところ、交通不便地域における移動手段の確保や、免許返納後の高齢者等の交通弱者の移動支援などに関して多くの御意見をいただきました。
この計画では、高齢者等の交通弱者や交通不便地域における移動手段の確保に向け、コミュニティタクシー制度の普及を図るとともに、相乗りサービスなどのタクシーを活用した新しいサービスや民間団体等によるボランティア輸送などの地域の多様な輸送資源の利活用についても検討することとしております。
タクシーの定額乗り放題制度につきましては、現在国が実証実験を行っている段階であり、その結果や国の動向について注視してまいりたいと考えております。
○副議長(北畠克彦君) 黒瀬企画財政局長。
◎企画財政局長(黒瀬敏弘君) 人口減少対策と公共交通対策についてのうち、子育て世帯の移住についてでございますが、本市の立地適正化計画では、生活サービスなどを持続的に確保するため、市街化区域内に居住誘導区域を設定しております。
その一方、様々なライフスタイルに合わせて居住地を選択できるまちづくりも計画が目指す方向性であり、子育て支援や空き家の利活用など、移住希望者のニーズに基づき、市内の各エリアを紹介するという本市が行っている基本的な移住支援の流れにも沿ったものでございます。
例えば、お話のありました児島地区に関しては、海が近いロケーションや、車を必要としない生活圏、繊維産業へ関心があるといったニーズが高く、これまでもお勧めのエリアの一つとして紹介してまいりました。
また、新たに今月から児島下津井地区に地元の暮らしを体験できる、古民家お試し住宅がオープンしたことで、さらなる地域の魅力向上が図られるものと考えております。
今後も引き続き、児島地区をはじめ、市内各地の個性と魅力を発信するとともに、子育て世代を含めた移住促進に向け、様々な取組について検討を進めてまいります。