録画中継

令和4年第3回倉敷市議会(第2回定例会)
6月14日(火) 本会議 質問
日本共産党倉敷市議会議員団
田口 明子 議員
1 リプロダクティブ・ヘルス&ライツの尊重と包括的性教育について
2 子どもの貧困対策について
3 子育て支援の強化について
4 豪雨災害への「備え」について
◆10番(田口明子君) (拍手)日本共産党倉敷市議会議員団の田口 明子でございます。
 通告に従い、一問一答の方式にて順次質問いたします。よろしくお願いいたします。
 質問の途中に資料を提示させていただきますので、サイドブックスを立ち上げておいてください。よろしくお願いいたします。
 それでは、1項目め、リプロダクティブ・ヘルス&ライツの尊重と包括的性教育について質問いたします。
 日本共産党は、ジェンダー平等の社会を目指すことを綱領に掲げております。女性はこうあるべき、男性はこうあるべきだという性による行動規範や役割が押しつけられ、そのことによって生じている差別的な状況を解消し、その人がその人らしく尊厳を持って生きられる社会を目指しております。しかしながら、日本のジェンダーギャップ指数は世界第120位と、先進国の中でも最下位であり、女性におけるジェンダー差別は、社会のあらゆる面において大きな障壁となっております。
 コロナ禍においては女性への暴力が増大し、DV被害相談はコロナ前の1.6倍へ、そして性暴力被害のワンストップ支援センターへの相談は前年の1.2倍にも上り、2021年度以降も高い水準が続いております。性暴力は、取り返しのつかない魂の殺人であり、ジェンダー格差再生産の要因となっております。その根絶は、政治の緊急かつ根本課題でもあります。
 まず、女性や子供たちにとって最も身近な性暴力が、痴漢です。近年、毎年1月に実施される共通テストを狙って、受験当日に痴漢行為をしても警察に通報されないから大丈夫といった、インターネット上の掲示板で痴漢行為を呼びかける卑劣な痴漢祭りという書き込みが多々見られ、見張りをしようという市民の活動が起きたり、鉄道会社の社内放送で注意喚起が呼びかけられたり、大きな社会問題として取り上げられました。これは、本市においても例外ではありません。
 そこで、まず伺います。
 痴漢をはじめとする性犯罪、性暴力について、本市の認識をお聞かせください。
○副議長(塩津孝明君) 尾崎市民局長。
◎市民局長(尾崎英樹君) 田口 明子議員さんの御質問にお答えさせていただきます。
 岡山県迷惑行為防止条例第3条第1項第1号には、公共の場所または公共の乗り物において、衣服その他の身につけるものの上からまたは直接人の身体に触れることは禁止行為と規定されており、同条例第14条には罰則も設けられておりますとおり、痴漢は明らかな犯罪行為であり、被害者の尊厳を傷つける許されない行為であると認識しております。
 岡山県警では、このような痴漢行為に対し、公共交通機関利用者などへのチラシの配布や立て看板の設置などにより、注意喚起や取締りを行っているところでございます。
 市といたしましては、岡山県警や関係機関等と連携し、性犯罪、性暴力を含め、広く犯罪防止の啓発に努めているところでございます。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 議長の許可をいただいて資料を提示いたします。今提示している資料は、日本共産党東京都委員会ジェンダー平等委員会が作成しております、痴漢に関する調査で行ったアンケート結果です。
 2020年に行った痴漢の調査では1,435人から回答が寄せられ、その被害に遭った場所は、圧倒的に多いのが電車の中、そしてそれをはじめとして図書館などの公共施設、映画館など、日常生活のあらゆる場面にわたります。電車の中の痴漢は、繰り返し、覚え切れないほどなどの記述もあり、父親を含め男性と話せなくなった。満員電車が怖くなり途中下車してしまうために不登校になってしまった。鬱になって働けなくなったという声や、自分を責め死にたいという方が13人に及びます。精神や身体の不調に現れ、治療しなくてはならないほど、被害者の人生に深刻な打撃を与えていることが分かります。
 痴漢は、被害者の尊厳を著しく傷つける深刻な性暴力であり、刑法の強制わいせつ罪などが適用される、れっきとした性犯罪です。
 まず、痴漢は絶対に許されないし、許さないぞという徹底した啓発と痴漢防止対策を求めたいと思います。本市の見解をお答えください。
○副議長(塩津孝明君) 尾崎市民局長。
◎市民局長(尾崎英樹君) 市といたしましては、先ほども申し上げましたが、岡山県警察や関係機関と連携し、性犯罪、性暴力も含め、広く犯罪防止の啓発に努めてまいります。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) アンケートでは、逆に被害者が責められるという例も多数記述されており、あなたが誘惑するような変な態度を取ったんじゃないの、隙があるからよなどなど、これは社会の風潮を反映しており、この意識を変えていく必要があります。依然として、痴漢に注意というポスターが見られますが、被害者に自衛を求めるだけではなく、加害者を牽制するメッセージこそが重要だと思います。
 アンケートの結果には、被害者が話そうと思えなかった。笑われた。その程度で騒ぐななどと言われたという回答もあります。相談することの難しさが現れております。被害者に対する適切な対応、そして恒常的な予防策が求められると思います。
 本市における相談や支援について、その現状と強化を求めたいと思います。見解をお示しください。
○副議長(塩津孝明君) 尾崎市民局長。
◎市民局長(尾崎英樹君) 議員の御意見につきましては、岡山県警や関係機関にお伝えして、今後、啓発方法を見直すなどの際に参考としていただくよう、お願いしてまいりたいと考えております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 質問の中で、本市における相談や支援についての現状ということをお聞きいたしました。今行われているような相談体制の状況などが分かれば教えてください。
○副議長(塩津孝明君) 尾崎市民局長。
◎市民局長(尾崎英樹君) 失礼いたしました。
 本市におきましては、犯罪等の被害に遭われた方からの総合的な相談窓口として、倉敷市犯罪被害者等支援総合相談窓口を設置しております。この窓口では、相談者の置かれている状況や意向を丁寧に聞き取り、適切な支援が受けられるよう、速やかに関係部署に引き継いでおります。
 また、裁判所への付添いやカウンセリングの希望がある場合は、支援団体や適切な専門機関につなぐなど、支援も行っております。
 さらに、DV被害者等の窓口として、倉敷市配偶者暴力相談支援センターを設置し、きめ細かく相談に応じるほか、場合によっては女性の弁護士による法律相談等へつなぐなど、相談者に寄り添った支援に努めております。
 また、岡山県では性暴力被害者支援センターおかやま心が設置されており、国の夜間休日対応コールセンターと連携し、24時間対応しております。
 今後も、市ホームページ、広報紙、SNSの活用など、様々な方法で相談窓口の周知を図ってまいります。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 痴漢や性被害は、常に女性が取り組むべきものという感じで思われがちな点もありますので、誰もが関わるような問題として幅広く多くの方に知っていただき周知徹底と、そして性被害は絶対に許されないということを、牽制するようなメッセージも含めてしていただきたいということで要望させていただきます。
 では次に、リプロダクティブ・ヘルス/(アンド)ライツの尊重と包括的性教育について質問いたします。
 リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは、女性の命の安全や健康を守り、自分の体に関しては自分自身で決めることを保障される権利のことで、性と生殖に関する健康と権利と言われております。内閣府の男女共同参画の基本計画でも、リプロダクティブ・ヘルス/ライツについて、男女が共に高い関心を持ち、正しい知識、情報を得て、認識を深めるための施策を推進するとされております。こうした権利の重要性を誰もが認識することが大切だと考えます。
 児童、生徒が性に関する科学的知識や自ら判断し、望ましい行動を取ることができる力を身につけることができるよう、発達段階に応じて性に関する指導を行うことが求められていると思います。
 そこで、市教育委員会の認識を伺いたいと思います。
 小・中学校における性に関する指導について、学校現場ではどのような指導が行われているのか、実態をお答えください。
○副議長(塩津孝明君) 井上教育長。
◎教育長(井上正義君) 学校における性に関する指導につきましては、学習指導要領におきまして、児童、生徒の発達段階に応じて、学校教育全体を通じて指導することが大切であるとされております。
 学校現場では、男女の身体の違いを含む身体の成長や性感染症等の科学的知識につきましては保健で扱い、性に関する倫理や人間関係の重要性などについては道徳や特別活動で指導するなど、教科横断的な指導も行っております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 私たち大人が性教育を受けたのはいつだったのか、思い返してみると私の場合は、小学校6年生のときの修学旅行の前に女子だけが体育館に残って初潮のレクチャーを受ける。これが、学校での性教育の入り口だったように思います。まさに、性教育の石器時代です。
 東京都教育委員会が2018年8月、都内の全公立中学校に対して性教育の実施状況調査を行っております。少し内容を御紹介したいと思います。
 教員は性教育について自信を持って指導しているという質問に対して、とてもそう思うとそう思うと答えた人は51%にすぎません。約半数の教員が自信がないという結果でした。また、保護者は家庭において子供たちに対して性に関する指導を行っている、それに至っては15%です。こういった結果を見ると、教員自身にも迷いがあり、現状の性教育の在り方や学習に、問題や限界があるのではないかということが推察されます。
 そこで、本市においても、小・中学校を対象とした性に関する指導の実施状況調査を行い、現場の先生たちが抱える課題を把握することで、今後の性に関する指導の充実につなげていただきたいと考えますが、教育委員会の見解をお示しください。
○副議長(塩津孝明君) 井上教育長。
◎教育長(井上正義君) 性に関する指導の実施状況につきましては、毎年12月頃に岡山県が学校保健概要調査の中で調査を行っており、倉敷市内の小・中学校における実施状況につきましては、全ての学校で実施しているとの結果になっております。
 また、学校保健概要調査は、教員の性に関する指導に対しての不安等を問うような項目は調査に含まれていないため、今後研究してまいりたいと考えております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) ぜひとも、この状況調査をしていただいて、先生たちが抱える課題を把握していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、生命(いのち)の安全教育について伺います。
 子供たちを性暴力の当事者にしないために、2023年から文部科学省が推進する生命(いのち)の安全教育が本格実施されます。しかし、この内容では不十分なところも多く、生命(いのち)という道徳教育の共通用語ではなく体の権利教育という視点で、いわゆる性犯罪や性暴力から命や体を守ることとして、体の自己決定権という視点で性に関する指導を行っていくことが重要であると考えます。
 そこで、子供たちの性的発達の段階に応じて、必要な学習内容、教材を準備して学習指導していくということが必要であると考えますが、教育委員会の現状と見解をお聞かせください。
○副議長(塩津孝明君) 井上教育長。
◎教育長(井上正義君) 倉敷市教育委員会では、男女が互いに人権を尊重することが大切と考え、男女平等や男女間のあらゆる暴力を防止するための教育を推進しております。例えば、市内の小・中学校には文部科学省通知、子供や若者を性暴力の当事者にしないための「生命(いのち)の安全教育」の教材等についてを周知し、自分と相手を守る距離感について学ぶことができる教材等を、発達段階に応じて活用するよう指導しております。
 また、毎年市内の中学2年生全員に配付しております本市発行の啓発誌ONE STEP UPを活用し、デートDVに気づき、自分が嫌だと思ったことは嫌と言えることの大切さ等について、学ぶことができるようにしているところでございます。
 今後も、児童、生徒が主体的に自分の安全を守るための教育を積極的に推進してまいります。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 駄目なことは駄目、嫌なことは嫌だと、自分の口で言えるということはとても大事なことだと思います。それが幼少期のときから、自分の体でも、自分しか触っては駄目なところ、相手に触られたら嫌だと思うところ、触らせては駄目なところ、そういったことも含めて、本当に幼児教育のところから出発していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、中学校を卒業するまでに性交や避妊について教えることの重要性について伺いたいと思います。
 2018年に実施された朝日新聞デジタルアンケートによると、性交という言葉とその意味について、中学生までに知ったと答えたのは90.2%で、どこから知ったのかという質問においては、最も多かったのは友人、先輩、後輩と44.7%、次いで新聞や雑誌、漫画31.7%、その一方で、授業や教科書は僅か6.4%にすぎませんでした。
 子供たちの大多数は、性交の意味を中学校卒業するまでに知ることになるのに、友人やメディアからの情報は、必ずしも正しいものとは限らず、差別的で暴力的なフェイク情報にさらされる場合も少なくありません。科学的な知識や人権意識を身につけないまま、ゆがんだ情報に触れれば予期せぬ妊娠に直面し、性暴力、性被害者や加害者になる危険性が高まります。
 岡山県の2019年のレポートによると、人工妊娠中絶の件数では、10代が209件9.7%、20代は904件42%となっております。10代から50代での構成割合で見ると、10代の占める割合は、1970年には2.2%であったものが2019年度には9.7%と、大幅に上昇していると報告されております。
 現在、性に関する内容での学習指導要領では、小学校5年生の理科では、人の受精に至る過程は取り扱わないものとする。中学校1年生の保健体育科では、妊娠の経過は取り扱わないものとすると記載されていて、性教育の大きな歯止め規定が存在しています。そのことによって、学校の教育の中で性交について教えることは、避けられる傾向が続いてきました。しかし、現行の学習指導要領では限界を感じ、先進的に教育の中身を進化させている自治体もあります。
 議長の許可を得まして、今日は秋田県教育庁が出しております20歳未満の人工妊娠中絶実施率のグラフを提示させていただきます。通知しますので御覧ください。
 秋田県は、かつて人工妊娠中絶が全国平均よりも多く、産婦人科医や助産師など専門的な知見を持つ人たちを交えて研究会を立ち上げ、学校での性教育講座を始めたそうです。PTAでの講演会や家庭での情報共有、中学校への出張授業など、計画を立て実践的な性教育に触れるようにしているとのことです。
 ここで見ていただきたいのは、その教育効果が人工妊娠中絶率の変遷に現れているということです。高校や中学校で講座が始まった時点ごとに、その数がぐんと下がります。これが顕著に現れていることが分かります。学校での科学的で正確な教育こそが、子供たちの性被害や性感染症から身を守ることができることだと分かります。文部科学省は、歯止め規定の内容についても、各学校でその必要性があると判断すれば指導することはできるとの回答を示しております。
 中学校を卒業するまでに、性交や避妊についてもきちんと教えることが重要と考えますが、市教育委員会の認識をお答えください。
○副議長(塩津孝明君) 井上教育長。
◎教育長(井上正義君) 平成29年3月に文部科学省が告示した中学校学習指導要領では、妊娠や出産が可能となるような成熟が始まる観点から、受精、妊娠を取り扱うとされており、倉敷市教育委員会といたしましても、性に関する指導の実施は重要であると認識しております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 性に関する教育というのは本当に大事で、小学校5年生の理科では、受精に至る過程は取り扱わないということで、理科の授業中に受精するにはどうしたら受精するのと生徒が質問したときに、先生が答えられなかった場面もあったということをお聞きしております。
 性被害に遭わないためにどうするのか、性暴力に遭わないためには子供たちをどう守ったらいいのか、そう考えたときに、性暴力や性被害という線引き、自分の体に対して、どういった危害が与えられているのかということをしっかりと認識する上でも、この性交についてもしっかりと学習していく。これは専門的な人たちも交えて、一緒に学習していくということがとても重要だと思います。今後、この歯止め規定の内容についても、教育委員会が判断すれば、パワーポイントなども使いながら指導できるとされておりますので、ぜひとも先進的な事例を学んで、教育していっていただきたいと思います。
 それでは、性交や妊娠、中絶、多様な性の在り方などで、本当に今教育が幅広く広がってきております。そんな中で包括的な性教育を実施するに当たって、先生たちは、現状の性教育では不十分と感じている方や、専門的なことは自信がないといった方もいらっしゃいます。教育委員会が、性暴力や性被害から子供たちを守るためにはどうしたらいいのかと、今本当に正面から議論していただきたいと思います。
 そのためにも、性に関する指導を推進する委員会、あるいは研究会等を教育委員会の中に立ち上げて議論していただきたいと思いますが、見解をお示しください。
○副議長(塩津孝明君) 井上教育長。
◎教育長(井上正義君) 先ほどお話がありました秋田県教育委員会では、学校生活におけるメンタルヘルスに関する課題、アレルギー疾患、性の問題行動などの現代的健康問題の課題解決を図るために、秋田県連絡協議会を設置して具体的な取組、支援などを行い、人工妊娠中絶率を減少させたと伺っております。
 倉敷市におきましては、学校医師会と学校薬剤師会、学校長、養護教諭、倉敷市教育委員会職員等を構成員とする岡山県学校保健会の倉敷、児島、玉島の3支部が設置されており、学校保健に関する啓発や調査、研修の実施などを行っております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) そういった場面でも、しっかりと性教育の議論をしていただきたいと思います。
 この項最後に、学校において性に関する指導を行う際には、産婦人科医や助産師など、専門機関の参画が必要と考えますが、いかがでしょうか。
○副議長(塩津孝明君) 井上教育長。
◎教育長(井上正義君) 性に関する指導につきましては、既に助産師などの協力を得て授業を行っている学校も一部ございますので、その成果等を検証しながら考えてまいりたいと思います。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 中学を卒業するまで、自分たちの体の成長に合わせた、発達段階に応じた授業ができるように要望しておきたいと思います。その際には、産婦人科医の先生たちの意見なども反映させていただきたいと思います。
 性暴力を受けたときの緊急避妊など、適切な対応ができずに予期せぬ妊娠をしてしまうこともあります。性交についてきちんと教えることが、子供たちを性暴力や性被害から守ることにつながると思います。子供たちが傷つくことがなく、すてきな大人になるために包括的性教育の充実を求めて、次の質問に移りたいと思います。
 2項目め、子どもの貧困対策について伺います。
 日本の子供の貧困率は13.5%、約7人に1人の子供が貧困ラインを下回っております。特に独り親家庭の貧困率は50.4%と、断トツの高さとなっています。
 本市において、子供たちを取り巻く環境と貧困についてどのように認識しているのか、お答えください。
○副議長(塩津孝明君) 藤原保健福祉局長。
◎保健福祉局長(藤原昌行君) 子供の貧困対策につきましては、平成29年度に市内の学校園や市の関係部署などに対してアンケートを実施し、その結果を、令和2年2月に策定した子ども・子育て支援法に基づく計画であるくらしき子ども未来プラン後期計画において、子供の貧困に関する課題と施策を盛り込みました。
 アンケート調査の結果、様々な困難を抱える子供の状況を早く把握し、生活や学習などでの必要な支援につなぐこと、子供が将来の夢や希望を持ち、進学から就職へと成長段階に応じて切れ目なく支援することなどが必要であると認識しております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) それでは、子供への支援と居場所づくりについて、本市では具体的にどのような取組をされているのか、お答えください。
○副議長(塩津孝明君) 伊東市長。
            (市長  伊東 香織君  登壇)
◎市長(伊東香織君) 倉敷市では、くらしき子ども未来プラン後期計画におきまして、子供の貧困対策も包含しておりまして、様々な事業を行っております。
 事業実施に当たりましては、学校や地域の様々な支援者の方々が、困難を抱える子供本人、そして世帯、家族の状況を把握しまして、相談や支援につなげることが大切であると考えております。
 例えば、生活にお困りの世帯の中学生を対象とする学習教室くらすぽでは、高校進学に向けた学習支援や進路相談を行っており、子供の状況を把握し、相談につなぐ居場所ともなっているところであります。また、小学生を対象とした小学生等訪問型学習・生活支援事業では、専門支援員が自宅へ訪問しまして、学習習慣や生活習慣の習得支援、そして保護者の養育に関する悩みの相談等を行っているところであります。
 そのほか、放課後児童クラブや児童館など子供さんが通う様々な場所におきまして、困難を抱える子供や世帯について把握し、必要な支援につなげていけるよう、今後とも子供の貧困対策に取り組んでいきたいと考えております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) くらしき子ども未来プラン後期計画では、貧困の状態にならないように切れ目なく支援するとされております。
 議長の許しを得まして、資料を提示いたします。
 これは、厚生労働省から出されました支援対象児童等見守り強化事業についての概要です。居場所型については、子育て支援を行う民間団体、ここで言う子供食堂や学習指導などについて、活動経費等を国が3分の2を補助するとしています。
 次に、子供の見守り強化アクションプランにおいては、行政機関をはじめとした要保護児童対策地域協議会のメンバーだけでなく民間団体に幅広く協力を求め、地域のネットワークを総動員して体制を強化するとしています。
 新型コロナの影響で子供の見守り機会が減少している中、支援ニーズの高い子供たちを定期的に見守りながら、切れ目のない支援につなげていくことが必要です。今こそ、こういった事業も検討すべきと考えますが、市の見解をお答えください。
○副議長(塩津孝明君) 藤原保健福祉局長。
◎保健福祉局長(藤原昌行君) 本市では、議員さん御提言の事業の対象となっている児童も含め、子育て支援としまして、妊娠期から出産、子育てまで切れ目なく様々な支援を行っております。その中で支援ニーズが高い世帯に対しましては、子供に関わる関係機関で構成する要保護児童対策地域協議会のネットワークなどを活用し、必要な支援につなげて、育児不安の解消や児童虐待の未然防止、早期発見に努めております。
 また、この事業は支援対象児童の見守りを強化する目的で、子供食堂も含めた民間団体等に見守りの委託を行う事業と認識しておりますが、本市では、既に先ほど申し上げました取組において、これらの団体等とも必要に応じて連携しているところです。
 なお、子供食堂の立ち上げ支援につきましては、地域福祉基金を活用した取組を行っております。また、この事業について、他市の取組状況についても確認しているところです。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 先ほど言われましたように、子育て支援を行う民間団体等とも連携しているということでした。この事業の中ではそこに対して、民間団体、子供食堂だったり子供宅食を行っているようなところに対して、前回までは10分の10出ていたのですけれども、活動に対する支援の補助を補助率3分の2で行うということで、その活動経費を負担してもらえるので、やるほうとしては本当に助かる話ではあるのです。
 今、こういった子供の見守り強化事業の中で、支援が必要な子供たちがどこにいるのか、なかなかつかめないという状況の中で、こういった事業を含めて、多くの方と連携していくことが必要となってくると思います。ぜひこの事業、令和4年度の予算に新規で出ておりますので、今後検討していただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、貧困は、一人一人の子供の成長の可能性を阻むだけでなく、貧困が次の世代に引き継がれる危険性をつくり出している点においても、大変重要な課題です。
 中でも、深刻なのが独り親世帯です。国民生活基礎調査によりますと、母子家庭の82.7%が、生活が苦しいと答えています。貯蓄がないと回答した母子世帯は37.6%、全世帯平均の2倍にも上ります。昨年から続くコロナ感染の広がりの中で、多くのパートや非正規で働く人たちの職が奪われ、子供の学校休校、休園等で働きに出られなくなった女性たちもいます。そうした中で独り親家庭は、さらに困窮に陥っているのが現状です。今こそ、貧困の連鎖を断ち切る抜本的な支援策が求められます。
 実態調査など、状況を把握することが今必要と考えます。本市として、子供の貧困対策の重要性についてはどのように認識しているのか、関係機関とのネットワークの構築の現状は今どのようになっているのか、お答えください。
○副議長(塩津孝明君) 藤原保健福祉局長。
◎保健福祉局長(藤原昌行君) 子供の貧困対策について、貧困の連鎖を防ぐために大変重要と考えており、様々な子供の貧困対策を推進しているところです。
 関係機関とのネットワーク構築につきましては、福祉や教育等の関係部署及び地域子育て支援拠点等の子供や保護者に関わる支援団体等が、様々な困難を抱える家庭の状況を共有し、連携して支援する体制づくりに取り組んでおります。
 新型コロナウイルス感染症の拡大による子供や保護者の状況につきましても、関係部署及び支援団体とのネットワークを通じて実態把握に努めてまいります。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) それでは、ネットワーク構築の具体的な施策としてはどのような事業を行っているのか、伺います。
○副議長(塩津孝明君) 藤原保健福祉局長。
◎保健福祉局長(藤原昌行君) 地域が協働し、困難を抱える家庭を支えるネットワークを推進するために、子ども相談センター等の関係部署と地域の子育て支援団体などの関係機関が、子供の支援の現状や課題を共有し、必要な支援につなげるための事例検討を行う研修会を実施するなど、地域ネットワーク形成のための支援体制の充実に努めております。
 今後も関係機関と連携しながら、子供の貧困対策に取り組んでまいります。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 貧困の連鎖を断ち切るためには、子供たちの支援だけではなく、親への支援と一体的に行うことが求められます。
 そこで、次の項、子育て支援の強化について求めて質問いたします。
 物価の高騰の波が止まりません。家庭の日常生活における食費やガソリン代、光熱費など、どの面においても物価が高騰し、家計を直撃しております。
 この状況の中で、生活困窮者など子育て世帯への影響は非常に大きなものだと思われますが、まず倉敷市としての認識をお聞かせください。
○副議長(塩津孝明君) 藤原保健福祉局長。
◎保健福祉局長(藤原昌行君) 新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中で、食費などの物価高騰を受け、御家庭における日常生活の家計について、今までよりも多くの支出を強いられており、生活困窮世帯などの子育て世帯への影響は大きいものと認識しております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 政府は、コロナ禍において原油価格や物価高騰に直面する生活困窮者等生活者の負担軽減や、子育て世帯への生活支援策を拡充、強化いたしました。
 そこで伺います。
 国が生活支援策として上げている上乗せ支給や、子育て世帯、家計急変学生・生徒に対する給付金の支給の検討を求めます。本市の現状と併せて見解をお示しください。
○副議長(塩津孝明君) 藤原保健福祉局長。
◎保健福祉局長(藤原昌行君) このたび、国が実施します低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金の支給につきましては、その経費について、今議会で補正予算をお願いしております。
 この給付金は、児童扶養手当を受給している独り親世帯や、児童手当及び特別児童手当を受給している令和4年度住民税非課税世帯の方が対象であり、令和4年3月31日時点で原則18歳未満の子を養育する方へ、児童1人当たり5万円の給付金を支給するものです。
 また、児童扶養手当を受給していない独り親世帯や、児童手当等を受給している令和4年度課税世帯の方の中で家計が急変し所得が一定程度減少した世帯においても、申請により支給対象となります。物価高騰等の影響を受ける子育て世帯に、可能な限り速やかに給付金の支給を行えるように準備を進めてまいります。
 また、上乗せ給付についてでございますが、これまでも新型コロナウイルス感染症の影響に対応するため、令和2年度の特別定額給付金をはじめ、子育て世帯への臨時特別給付金など、様々な給付金を支給してきていまして、今回の給付金につきましても、国の制度に基づいて可能な限り速やかに支給してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 今回、物価高騰によって生活が困窮している方たちが増えていらっしゃいます。特に消費税10%になってから、大変な状況が寄せられます。
 国もこの状態を受けて、先ほども言いましたけれども、生活支援策が拡充、強化されておりますので、国も事例として、給付される上乗せ支給等も自治体に応じて判断してほしいと通知も出しておりますので、ぜひとも倉敷市として、学生、生徒に対する給付金の上乗せ、あるいはそういった支給も含めて、今後しっかり検討していただきたいと要望したいと思います。
 次に、国民健康保険料の負担軽減について、子供の均等割減免の実施を求めたいと思います。
 今年4月から、未就学児に係る国民健康保険料の均等割額が5割軽減されました。国保はほかの健康保険と違って、世帯員数に応じた均等割保険料がかかってきます。世帯員数は、子育て中など多人数の世帯ほど負担が重くなります。倉敷市の均等割額は、子供でも1人当たり年額3万5,280円です。子供が生まれるほど負担が重くなるのが、この均等割です。
 軽減割合の5割に上乗せして倉敷市独自の減額をすることや、未就学児だけではなく対象者の枠を拡充するなど、子育て世帯の国保の負担軽減を図っていただきたいと思いますが、市の見解をお示しください。
○副議長(塩津孝明君) 渡邊保健福祉局参与。
◎保健福祉局参与(渡邊浩君) 国民健康保険の保険料は、所得にかかる所得割、世帯にかかる平等割、子供を含めた1人当たりにかかる均等割で計算され、所得の低い世帯につきましては国の制度に基づき、平等割、均等割が所得区分に応じて減額されることとなっております。これに加えまして、今年度から、先ほど議員からもございましたが、未就学児を対象に均等割の5割を、国2分の1、県4分の1、市4分の1の公費負担により減額する制度が創設されております。
 市独自の減額の上乗せは困難と考えますが、子育て世代のさらなる負担軽減について、これまでも全国市長会などを通じて要望してきたところであり、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) それでは、国民健康保険における入院時の食事代等について伺いたいと思います。
 保険医療機関に入院された場合、食事費用の一部として1食当たり460円を負担することになりますが、住民税非課税世帯の人は負担額が210円に減額されます。入院が長期に及ぶ場合は、90日を超えると160円の減額となります。この制度は、利用者にとってとても負担軽減につながります。
 国民健康保険における入院時食事療養費負担の支給について、どれぐらいの実績があるのか、まずお答えください。また、この制度は国の制度ですが、倉敷市が遡って申請を受け付けた場合、申請された当月だけではなく遡って申請された費用も国の公費負担の対象となっているのかどうかについてもお答えください。
○副議長(塩津孝明君) 渡邊保健福祉局参与。
◎保健福祉局参与(渡邊浩君) 国民健康保険の被保険者が入院した場合の食事代は、1食当たり460円を自己負担すれば、残りは入院時食事療養費として国民健康保険が負担する仕組みとなっております。
 住民税非課税世帯の方につきましては、事前の申請により、さらに自己負担を減額することができる認定証が発行され、その認定証を医療機関の窓口で提示することで、食事代の負担軽減が図られているところです。また、急な入院などでやむを得ず認定証の交付申請を行えなかった場合は、後日、差額分を還付することもできるようになっております。
 入院時食事療養費の令和2年度の支給実績は、遡及分も含めて支給件数が2万3,624件、支給金額は約3億8,000万円となっており、この支給に要した費用につきましては、遡及分も含めまして約50%が国などの公費で負担される仕組みとなっております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 国民健康保検における入院時食事療養費の支給について、単身世帯の方が入院していて申請できなかったというようなやむを得ない場合を除いては、制度を知らずに申請が遅れた、あるいはできなかったという理由は、一切認められておりません。遡って申請することも認められていないのが、この制度です。
 独り親世帯で付添いが必要な子供が入院した場合、保護者が当月内に申請に市役所に行くのが困難な場合であっても、担当課がやむを得ない場合と認めない限り、必要な人が利用できなくなっている状況があります。
 やむを得ない場合は担当課に連絡してもらうことや、制度を多くの方に周知してもらうといった取組が必要だと思いますが、答弁を求めます。
○副議長(塩津孝明君) 渡邊保健福祉局参与。
◎保健福祉局参与(渡邊浩君) 入院時食事療養費につきましては、広報くらしきやホームページなどの広報媒体のほか、国保に加入している全ての世帯に毎年お送りする保険料の通知書に国保ガイドブックを同封するなど、制度の内容や手続の分かりやすい説明に努めているところでございます。
 引き続き制度の周知を図るとともに、電話や窓口での問合せや相談に当たっては、個々の事情、状況をよくお聞きし、丁寧な対応に努めてまいります。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) これは、1食当たり460円ということで、1日にしますと1,380円で、1か月入院するだけでも4万円を超える状況ですので、ぜひとも多くの方に周知していただいて、この制度を受けられるようにしていただきたい。特に子育て世代の方たちで、広報くらしきをなかなか見られないという方もいらっしゃいますので、ぜひとも通知の文書を送ったりする場合に、その中に同封するということも考えていただきたいと思います。
 それでは、子育て世代向けの市営住宅への支援について伺います。
 生活に困窮している子育て世帯への市営住宅の提供については、優先利用など、低廉な住まいを提供することが必要と考えますが、市としての見解をお示しください。
 そしてまた、子育て世帯へ給付金等が今支給されておりますが、その給付金等が収入認定されて、公営住宅の家賃が倍になって請求されたという不適切な対応の事例が、ほかの自治体で報告されております。
 そこで、本市における家賃への収入認定の現状についても併せてお答えください。
○副議長(塩津孝明君) 山本建設局長。
◎建設局長(山本達也君) まず、市営住宅の提供など、子育て世帯への支援の対応についてお答えさせていただきます。
 現在、小学生までの子供がいる世帯につきましては、市営住宅の入居者募集の際に優遇抽せんの対象になっており、また入居の際の所得要件につきましても、緩和された基準を適用しております。
 市営住宅の応募状況につきましては、抽せんとならない住戸もあるものの、団地によっては応募多数により抽せんとなる住戸もございます。このような応募多数になる住戸につきましては、転居等も多いことから空き住戸が発生次第、早期かつ積極的に募集しております。
 続きまして、子育て世帯への給付金等の収入認定についてお答えさせていただきます。
 市営住宅の家賃は、所得税法上の例によって算出された入居者の所得によって決定されます。令和3年度に支給された子育て世帯への臨時特別給付金及び令和4年度に支給予定の低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金は非課税所得に該当するため、家賃計算の収入認定においては、所得に含めないものとしております。
 また、保育その他の子育てに関わる助成金、支援給付金や遺族年金、障害年金等の所得についても、同様に含めないものとしております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 子供たちの命と健康を守り、健やかな成長を保障するためには、子育て世帯への経済的支援や社会的支援が欠かせません。コロナ災害の上に重なる物価高騰から、市民の暮らしを守る施策の充実を求めておきたいと思います。
 最後に4項目め、豪雨災害への「備え」について伺います。
 災害リスクを周知徹底するという質問です。
 今年も梅雨や台風シーズンが近づいてきました。4年前の西日本豪雨災害では、倉敷地区の広域にわたって浸水し、多くの方が亡くなりました真備町では、当時ハザードマップは公表されていたものの、その情報は広く知られてはおらず、多くの住民にとって寝耳に水の浸水だったと思います。被害想定が住民に徹底されていたとは言い難く、潜在的な危険を認識できないまま被害に遭った。その上、行政が発令する避難勧告や指示のタイミングも遅れたとの指摘もされました。
 地域の災害リスクが多くの住民に伝わっていないという現状は、直ちに改善する必要があります。ハザードマップを活用した図上訓練や現場ウオッチングの実施など、住民が主体的に災害の危険を予測、認知して行動することができるよう、洪水ハザードマップを全世帯へ配布することを求めます。答弁を求めます。
○副議長(塩津孝明君) 柳井総務局参与。
◎総務局参与(柳井一泰君) 令和3年度に、県が想定最大規模の洪水浸水想定区域図及び岡山沿岸高潮浸水想定区域図を公表したことに伴いまして、洪水・土砂災害ハザードマップ、高潮ハザードマップを作成するための関係予算を本議会に計上させていただいております。この想定最大規模とは、1,000年に一度程度の確率で発生する降雨を想定しているもので、現在公表している100年から150年に一度程度の確率で発生する降雨を想定した計画規模のハザードマップと比較すると、浸水深及び浸水範囲が大幅に拡大されることとなります。新たに作成するハザードマップと気象情報、川の水位情報や市が発令する避難情報が、迅速な避難行動につながることが大切であると考えております。
 なお、新たに作成するハザードマップは、データの完成が年度末になる見込みであり、印刷部数については、最低限必要な数量として予算計上したものでございます。
 昨今、災害の被害想定や避難情報に関する名称、警戒レベルなどが改められることが増えているとともに、市が指定する指定緊急避難場所についても、施設が増えたり、逆に廃止されることもあるなど、内容が頻繁に更新される状況にあります。
 市としましては、スマートフォンやパソコンの普及率及びハザードマップ以外から得られる情報の入手等も考慮しながら、常に最新の情報が提供できるよう検討しているところでございます。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) ハザードマップは全世帯に配っていただきたいと思います。1度大きな災害を経験した市ですから、倉敷市洪水・土砂災害ハザードマップにおいては令和2年4月に改定されておりますし、倉敷市内水ハザードマップについても令和2年6月に改定を迎えております。これについて全世帯に配っておかないと、万が一の備えにハザードマップさえ家になかったという状況になったときに、配っていなかったのだというのでは本当に対応できないと思います。ここは、本当に全世帯に配布していただいて、これを基に住民が主体的に行動できるようにしていただきたいと思いますので、ぜひとも今後検討していただきたいと思います。
 それでは、災害の被害を減らすためにも、住民が自らハザードマップなどの情報をしっかりとつかみ取って、住民が主体的に行動できるよう行政の強いサポートが今求められていると思いますが、そのことについての答弁を求めたいと思います。
○副議長(塩津孝明君) 柳井総務局参与。
◎総務局参与(柳井一泰君) 本市では、平成30年7月豪雨災害を受けて設置した倉敷市災害に強い地域をつくる検討会において、地域全体が防災、減災を意識した社会の構築が重要な理念として示されるなど、市民の意識改革の必要性が指摘されております。このため、住民一人一人が高い防災意識を持つ自助が重要と認識しております。
 市では、従来より防災講演会の開催や出前講座などの啓発活動を行うとともに、昨年度の総合防災訓練では、家具の固定やハザードマップの確認など、市民一人一人の取組も呼びかけました。また、毎年出水期や台風時期に大雨への備えとして、広報くらしきに特集記事を掲載し、折に触れ防災意識の啓発に努めております。
 さらに、今年度は、大人から子供まで気軽に参加できる防災普及・啓発イベント、くらしき防災フェアの実施に向けて、本議会に関係予算を計上させていただいております。こうした訓練や啓発活動を通じて、より多くの方々に防災に触れていただき、一人一人の防災意識の向上を図ってまいります。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 個別避難計画の作成について伺いたいと思います。
 令和3年5月に災害対策基本法の一部が改正され、個別避難計画の作成が市区町村に努力義務化されました。
 今後、この作成に当たってはどのように進めていくのか、また、地域の団体等にどのような支援を行っていくのか、お聞かせください。
○副議長(塩津孝明君) 柳井総務局参与。
◎総務局参与(柳井一泰君) 個別避難計画の作成に当たっては、本人やその家族に加え、自主防災組織、自治会、地区社協などの地域団体を中心に作成することを念頭に置いており、そこにケアマネジャー等の専門家が加わることで、各地域の特性や個人の心身の状況を反映した実効性のある計画が作成できると考えております。
 現在は、モデル地域において先行的に個別避難計画の作成に取り組んでいただくため、説明会等を実施し、具体的な作成方法を試行しているところでございます。
 今後につきましては、分かりやすい手引づくりを行うことで、対象者全員の計画作成を目指してまいりたいと考えております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) では次に、避難行動判定フローの作成について伺います。
 災害時に住民自らが自分の取るべき行動を確認するため、避難の必要性やタイミングが確認できるような避難行動判定フローを作成すべきと考えますが、市の見解をお示しください。
○副議長(塩津孝明君) 柳井総務局参与。
◎総務局参与(柳井一泰君) 避難行動判定フローとは、住民が自分の命は自分で守るという意識を持ち、洪水・土砂災害ハザードマップなどで自宅を探し、影響を受ける災害を確認するなど、災害リスクごとの取るべき行動を事前に確認することを目的として、内閣府が公表しているフロー図です。
 本市では、倉敷市洪水・土砂災害ハザードマップと併せて使用する避難行動判定フローを令和4年4月に作成しており、チラシとして本庁や支所で配布しているところです。
 今後は、市ホームページや倉敷防災ポータルに掲載するとともに、出前講座等を通じて広く周知していきたいと考えております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) それでは、指定緊急避難場所における新型コロナ対策について伺います。
 内閣府は、あらゆる担当において感染症対策が必要になってくるために、必要な人員等の確認や役割分担、手順、課題を洗い出しておくことが必要としておりますが、倉敷市の対策の現状をお聞かせください。
○副議長(塩津孝明君) 柳井総務局参与。
◎総務局参与(柳井一泰君) 指定緊急避難場所への密集を防ぐため、小・中学校などの指定緊急避難場所への避難以外に、自主防災組織が運営する届出避難所への避難、親戚や知人の家への避難、自宅などの2階以上への垂直避難や車での安全な場所への避難、いわゆる車中避難など、分散避難をお願いしているところです。
 また、指定緊急避難場所においては、体育館だけでなく教室を使用するなど、施設をできるだけ広く使うことで密集を避け、換気をするとともに、受付時の体調の聞き取りや検温など基本的な対策を徹底し、万が一、体調の悪い方が確認された場合には、隔離された教室等に移動していただくこととしております。
 さらに、これらの対応を取りまとめたマニュアルを作成し、避難所担当職員への研修や訓練等を通じて職員の対応力向上も図っております。
 なお、感染症対策用品として、屋内用テント、飛沫防止パーティション、非接触式体温計、不織布マスク、手指消毒液などを備蓄しております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) それぞれの業務において、訓練やシミュレーションが必要になってくると思いますので、ぜひとも訓練を実施していただきたいと思います。
 この項最後に、災害発生時には被災者救助の中心的役割を担う消防の実情は、全国的にも職員不足が常態化しており、大規模・広域化による初動体制の遅れなども懸念されております。
 消防職員の増加や資機材の強化が必要と考えますが、本市の見解をお示しください。
○副議長(塩津孝明君) 梶消防局長。
◎消防局長(梶隆幸君) 消防職員数につきましては、平成30年7月豪雨災害時の職員数459名から現在では468名となっており、9名の増加となっております。
 また、資機材につきましては、水陸両用バギー、水上オートバイ、20名が乗船できる救命ボートやドローンなどを新たに配備し、海上保安庁や警察と合同で訓練を重ねることにより、有事の際に迅速に対応できるようにしております。
 今後とも、防災力強化のために関係部局とも協議しながら、必要な職員数を確保するとともに、資機材の強化に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(塩津孝明君) 田口 明子議員。
◆10番(田口明子君) 日常からハザードマップの内容を把握し、危険箇所を住民とともにチェックすること、改善が必要であれば行政が支援することなどを含めて、いざというときの備えが本当に役に立つよう、災害予測や避難計画づくりを、行政と地域が一体となって推進されることを要望して私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
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