録画中継

令和4年第5回倉敷市議会(第4回定例会)
12月9日(金) 本会議 質問
新風くらしき
平井 俊光 議員
1 これからの公共図書館の役割と中央図書館の計画について
2 精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築について
◆2番(平井俊光君) (拍手)新風くらしきの平井 俊光でございます。
 通告に従いまして、2項目を一問一答の方式で質問いたします。
 まず1項目め、これからの公共図書館の役割と中央図書館の計画について7点お伺いしたいと思います。
 令和3年4月に公表されました倉敷市庁舎等再編基本構想において、倉敷市立中央図書館は、庁舎周辺の老朽化した公共施設(中央図書館、中央憩の家)と、市民活動センターを多機能複合化し、生涯学習や市民活動等の拠点となる複合施設棟を整備しますと発表されました。
 中央図書館を核とした複合施設棟の整備事業につきましては、先月、11月に開催されました市民文教委員会において、中央図書館を核とした複合施設棟のコンセプト(案)の説明がなされたところでございます。
 本項目の質問の冒頭に、まず当事業の全体の工程及びスケジュールをお聞かせください。
○副議長(塩津孝明君) 早瀬教育次長。
◎教育次長(早瀬徹君) 平井 俊光議員さんの御質問にお答えさせていただきます。
 中央図書館を核とした複合施設棟につきましては、市民活動センターに加えて、老朽化した中央憩の家や倉敷労働会館、倉敷市文化交流会館にございました国際交流情報コーナーなどの機能を複合して整備する予定としております。
 今後の整備スケジュールについてでございますが、今年度中に基本計画の素案を策定し、公表する予定としております。また、令和5年度に基本計画の確定、令和6年度中に設計に着手、令和9年度以降の運用開始を目指すこととしております。
○副議長(塩津孝明君) 平井 俊光議員。
◆2番(平井俊光君) 令和9年度中の開館に向けて、今年度中の基本計画素案を策定中ということでございました。この基本計画の対象となっている施設は、中央図書館、中央憩の家、市民活動センターなど複合施設棟でございまして、今回、11月の市民文教委員会で示されましたコンセプト(案)では、心地よい空間づくり、ICTを活用したサービスの提供、多世代が集う場所の整備、倉敷再発見の取組といった機能が求められていると示されておりました。
 これらの複合施設棟全体のコンセプト(案)としては、なるほどいいなと感じたわけでございますけれども、中でも、核となる中央図書館はどのようなものになるのか、大きな期待を抱いているところでございます。その図書館機能について、この項2点目の質問を伺っていきたいと思います。
 倉敷市民の知の拠点たる倉敷市立中央図書館について、倉敷市立図書館の現在の運営基本方針をまずお示しください。
○副議長(塩津孝明君) 早瀬教育次長。
◎教育次長(早瀬徹君) 倉敷市教育委員会では、現在、開かれた図書館として、幼児から高齢者まで全ての人々の利用に応えるため、資料の収集保存、図書館の情報化の推進に努め、図書館サービスの拡充を図り、利用者の知的要求、調査研究、レクリエーション等に資する。また、児童の読書意欲と読書習慣の形成のために資料の提供ができるよう、収集、環境の整備に努め、児童の自主的な読書活動の推進に積極的に取り組むという基本方針で、倉敷市立図書館を運営しております。
○副議長(塩津孝明君) 平井 俊光議員。
◆2番(平井俊光君) 幼児から高齢者まで全ての人々の利用に応えるため、資料の収集保存、図書館情報化の推進に努めるとのことでございました。
 倉敷市立中央図書館は、倉敷市の知の拠点として地方創生を牽引する重要な施設であると捉えておりまして、生涯学習の中でも現役世代、いわゆる一般的に社会人と言われる年齢層の方々に、ビジネス分野に関する情報の集積や発信を行う拠点ともなってほしいと考えております。
 そこで、この項3点目の質問ですけれども、まず現在の中央図書館の現状についてお伺いいたします。
 中央図書館の年間の曜日別来館者数と、いわゆる社会人と言われる年齢層の方々の貸出人数及び貸出冊数全体におけるビジネス分野の書籍の貸出状況について教えてください。
○副議長(塩津孝明君) 早瀬教育次長。
◎教育次長(早瀬徹君) 令和3年度における中央図書館の年間来館者数は約34万人であり、1日平均約1,100人の利用があります。曜日別では、土曜日の来館が最も多く、日曜、火曜と続き、金曜日が最も少ない傾向にあります。
 年間貸出者数約20万人のうち、社会人と言われる世代の御利用は半数の約10万人です。
 また、年間貸出冊数は約83万冊であり、そのうちビジネス関連の貸出冊数は約1万2,000冊です。平成22年12月にビジネス関連図書を集めたコーナーを設置して以来、平成24年度末は510冊、その後、冊数の充実に努め、平成28年度末には7,062冊、令和3年度末には8,620冊となっております。
○副議長(塩津孝明君) 平井 俊光議員。
◆2番(平井俊光君) 御答弁の中で、平成22年12月よりビジネス関連図書コーナーを設置され、8,600冊余りまで拡充してこられたとのこと。先日、私も中央図書館へ行かせていただきまして、ああ、ここに確かにあるなというのを見させていただきました。それらが、年間約1万2,000冊貸し出されるということは、8,600冊が1万2,000冊貸し出されているわけですから、主観ではありますけれども、かなり回転数が高いのではないかなと、多くの方に活用されているのだなと感じました。
 今回、中央図書館の再編事業が行われるに当たりまして、現代から未来に向かう公共図書館とはどのような姿がよいものなのか、私が所属します会派新風くらしきは、札幌市図書・情報館と滝川市立図書館に視察に参りました。ここで、これらの図書館について少し簡単に紹介させていただきます。
 札幌市図書・情報館は、2018年、平成30年10月に開館した図書館ですけれども、その翌年、2019年に図書館の在り方を示唆するような先進的な活動を行っている機関に対して、NPO法人知的資源イニシアティブが授与していますLibrary of the Year(ライブラリー・オブ・ザ・イヤー)2019の大賞とオーディエンス賞を開館1年目で受賞した図書館でございます。はたらくをらくにするをコンセプトに、ワーク、ライフ、アート、札幌の魅力発信の4分野に特化した課題解決型図書館とされています。
 また、滝川市立図書館は、同じくLibrary of the Year2021において、長年にわたり先進的な優れた取組を行ってきた図書館等に送られるライブラリアンシップ賞を受賞された図書館でございます。
 この札幌市図書・情報館は、さきに御紹介いたしましたワーク、ライフ、アートのコンセプトに沿った書架の配置がなされておりまして、さらに書棚を見ますと、例えば、ワークのコーナーでは、社会人になったら、まずこれを読まなければ始まらないといったような書棚があるとか、少し進みますと上司の苦悩とか、そういった書棚など、テーマに応じた関連の書籍が集約されて、そこを見れば、なるほど、こういう本を見ればいいんだなというのが一目で分かるような構成にされていました。
 ライフのコーナーは、ライフステージに応じて順番に書架が並んでいまして、一度ここでよい本に巡り会うと、次のライフステージになったときにまた来てみようと、次にはこういうのがあるよねという期待を抱かせるような、そういう並べ方がなされておりました。
 地方創生の推進におきまして、経営資源の人、物、金、情報といったものを考えたときに、残念ながら、物、金といった資源は、首都圏にはかなわないかなと。であるからこそ、人や情報といった資源の強化が重要であると考えております。
 ここで、この項4点目の質問でございます。倉敷市立中央図書館を核とした複合施設の中で、図書館は、地方創生の人材育成を推進する知の発信拠点として核となると考えますけれども、倉敷市教育委員会としては、どのように考えていらっしゃるのか、現在の中央図書館での取組を併せてお聞かせください。
○副議長(塩津孝明君) 早瀬教育次長。
◎教育次長(早瀬徹君) 倉敷市立図書館では、現在、就職や資格取得、起業等の書籍を集めたビジネスコーナーを常設しております。また、市の関係部署と連携し、ビジネスセミナー等の情報提供も行っております。
 複合施設として整備される中央図書館におきましても、ビジネスに関する書籍や郷土資料、行政資料の収集や保存、提供、発信などの図書館の基本的役割を果たすことにより、地方創生を担う人材育成につなげていきたいと考えております。
○副議長(塩津孝明君) 平井 俊光議員。
◆2番(平井俊光君) 先ほども申しましたけれども、先日、実際に中央図書館のほうに見学に参りまして、らせん階段を上がって2階にありますビジネス関連図書コーナーと周辺の書架を拝見いたしました。ビジネス関連図書コーナー以外にも、例えば、地理の分類の書架には、地政学とか諸外国に関する書籍、それから人物、伝記の書架には国内外の経営者に関する書籍も見られました。なるほど、こういう書籍もちゃんとそろえられているのだなと学んだ次第でございます。
 大都市の書店では、生産性高く活動しているビジネスマンは、今こういう本を読んでいるというような本が平積みにされていまして、一目で、あ、こんな本を今読まれているのだなと、はやっているのだな、これを読めばいいのだなというのが分かるように陳列されております。関心を引かれ手に取ってみようとなり、学びにつながるのかなと思うのですけれども、市内の書店を巡りましても、残念ながら、そういったビジネスコーナーというのが充実しているとは言えないと感じております。売れる本と参考になる本、読んでもらいたい本には、若干の違いがあるかなというふうな感じを抱いているわけでございます。
 地方創生を掲げる地方自治体の行政として、人材育成、自己啓発といった領域において、ぜひ大都市圏との情報のギャップを埋めていただく機能も、公共図書館に担っていただきたいと思うわけでございますけれども、人や情報といった資源を強化できるよう、蔵書のそろえ方、図書館での整理の仕方、見せ方といったところを強化していっていただきたいと要望いたします。
 もう一つ、視察に参りました滝川市立図書館は、老朽化による再編事業の中で、滝川市役所の2階に入居し、図書館司書である現館長さんのリーダーシップの下、庁内の各部署との連携の取組や、行政情報の発信拠点といった役割も担うようにまでなっております。その辺りがライブラリアンシップ賞の受賞につながったわけでもございますけれども、現在進められています倉敷市庁舎等再編整備事業で、中央図書館がこの倉敷市役所本庁舎の隣にやってくるということになりますが、複合施設棟の核になることにおいて、その役割に対しまして大きな期待をするところでございます。
 ここで、この項5点目の質問でございます。本年度末に向けて策定が進められています基本計画素案におきまして、どのような図書館像というか複合施設棟になるか、期待されている方も多いように思います。
 複合施設棟が、地方創生の人材育成を推進する知の発信拠点となるよう、基本計画素案の策定に当たり、有識者や現場の図書館司書さん、それから利用者となる市民の方というのはどのように関わってこられたのか、これから関わっていかれるのか。また、先進事例の研究、調査などが行われ、参考にされているのかどうか、お聞かせください。
○副議長(塩津孝明君) 早瀬教育次長。
◎教育次長(早瀬徹君) 基本計画の素案策定に当たりましては、市民の皆様から幅広く御意見を伺うため、これまでに市民アンケートを実施し、今月中にワークショップを3回開催することとしております。また、現場で働いている図書館司書や複合施設を所管する職員も関わりながら、有識者を含む図書館協議会からも御意見をいただき、計画策定を進めております。
 さらに、必要に応じて、先進事例である他都市への照会や視察等も行っているところでございます。
○副議長(塩津孝明君) 平井 俊光議員。
◆2番(平井俊光君) 御答弁いただきましたように、現在進められている基本計画の素案策定におきまして、図書館の運営者たる図書館司書さんやワークショップを通じて利用者たる市民の方が、基本計画づくりに参加されていることが分かりました。
 様々な関係者の参画によって組み上げられていっている基本計画でございますけれども、令和4年6月議会に公共施設における品質担保の仕組みについてと、私の質問で取り上げました事業全体の品質担保につき、一般的に、基本計画において定義されるサービス水準で要件に抜け漏れが生じたりしますと、最終的に望む品質に到達しないというおそれがございます。
 この観点で、この項6点目の質問をさせていただきます。基本計画が、令和5年度中に策定、確定されていくということでございますけれども、先ほど申しましたように、この基本計画策定時のサービス水準に抜け漏れがあると、その後の設計、施工、管理運営での実現が困難になると考えております。
 基本計画のサービス水準はどのようにして担保されるのか、お聞かせください。
○副議長(塩津孝明君) 早瀬教育次長。
◎教育次長(早瀬徹君) 現在策定中の複合施設棟の基本計画は、サービス水準の基となるものであり、複合施設棟が目指すべき姿に加えて、備えるべき諸室や設備等のほか、安全性能、耐久性能、環境性能など、市が求める施設の性能を盛り込む予定としております。
 基本計画の品質を担保するため、図書館司書や複合施設棟に関係する部署の職員が計画策定に関わるとともに、専門的な知見を有するアドバイザリー事業者の支援も受けながら検討を進めているところです。
 なお、基本計画の案がまとまった段階で、パブリックコメントを実施する予定としております。
○副議長(塩津孝明君) 平井 俊光議員。
◆2番(平井俊光君) しっかりと品質担保のための仕組みを運営されていくということで、承知いたしました。
 この項最後の質問といたしまして、基本計画よりも後の工程における品質担保についてお伺いしたいと思います。
 複合施設棟の整備につきましても、設計ですとか施工の各工程におきまして、工程の進捗に応じたチェックや工程ごとの完了検査に、図書館司書等の運営担当者が加わることで、利用しやすい施設としての品質を担保できると考えますが、この品質担保の計画はどのようなものか、お聞かせください。
○副議長(塩津孝明君) 早瀬教育次長。
◎教育次長(早瀬徹君) 事業者との契約締結後は、施設の設計、施工等の各工程において、図書館司書や複合施設棟に関係する部署の職員と事業者が定期的に協議を重ね、事業全体の管理を行いながら施設整備を進めることで、各工程の品質を担保できると考えております。
○副議長(塩津孝明君) 平井 俊光議員。
◆2番(平井俊光君) ちょうど今の複合施設棟の前段階というか、並行して進んでいます行政ゾーンの防災棟、こちらの倉敷市庁舎等再編整備事業要求水準書や実施方針というのも拝見いたしました。それらの中では、例えば、設計業務は、本市の担当者との十分な打合せにより実施するものとし、打合せの結果については記録等により本市へ報告することですとか、事業者は設計の打合せ時に必要な資料等を本市へ提示し、要求される性能等が反映されていることの承認を受けることといったような品質担保の仕組みが組み込まれているということが分かりました。恐らく、複合施設棟についても同じような仕組みが導入されることと認識しておりますけれども、こういった確認ですとか承認といった品質確認の作業に、施設所管課のみならず図書館司書さんも参加していただいて、すばらしい倉敷市立中央図書館としていただくようお願いしたいと思います。
 この件につきましては、G7労働雇用大臣会合が来年4月に開催されますけれども、地方の雇用を守り、伸ばしていくためにも、グローバルにつながる経済活動の中で、人、資本をどれだけ充実できるかは、大きな要素になると捉えております。図書館が、人材育成の核として倉敷市のインテリジェンスを牽引する存在になっていただきますよう要望いたしまして、この項の質問を終わります。
 2項目めの質問に移ります。精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築について5点お伺いいたします。
 厚生労働省は、平成29年度より精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進・支援事業を立ち上げまして、都道府県等の取組に対して、財政的な補助や技術的な支援を行っているとしております。
 また、この精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進する観点から、令和2年3月より有識者や当事者等を構成員とした精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会というものを開催し、令和3年3月に報告書を取りまとめております。
 同報告書では、このシステムの構築においては、日常生活圏域を基本として、市町村などの基礎自治体を基盤として進めること等について盛り込まれ、今後、この報告書を踏まえ、必要な諸制度の見直し等具体的な取組について検討し、その実現を図ることとされております。
 まず、ここで、ちょっと長い名称ではありましたけれども、国が、入院医療中心から地域生活中心へという理念の下、精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築を進めております。このケアシステムというものは、まずどのようなものか、御説明ください。
○副議長(塩津孝明君) 伊東市長。
            (市長  伊東 香織君  登壇)
◎市長(伊東香織君) 国の検討会の報告書に記載されております精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムでございますが、精神障がいの有無や程度にかかわらず、誰もが地域の一員として安心して自分らしい暮らしができるように、関係機関が重層的に連携して支援していくという体制のことであると、定義といいますか、記載されております。
 そして、これは精神障がい者の方を含めまして、支援が必要な方の困り事などに寄り添い、本人の意思が尊重されるようにマネジメント、それから情報提供、寄り添っていくということが基本になってくると考えております。
 そのためには、福祉や医療、介護、また住まい、社会参加の場、地域の助け合いなど、包括的な支援体制の構築が必要となってくると認識しているところでございます。
○副議長(塩津孝明君) 平井 俊光議員。
◆2番(平井俊光君) 医療、福祉、介護、住まい、社会参加の場、地域の助け合いなど、包括的な支援体制の構築が必要という認識をお示しいただきました。
 この項2点目の質問ですけれども、倉敷市が把握します精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの対象となります精神障がいの当事者の方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。お答えください。
○副議長(塩津孝明君) 吉岡保健福祉局参与。
◎保健福祉局参与(吉岡明彦君) 対象となる精神障がいの方は、主に自立支援医療制度のうち、精神疾患に係る通院医療費の助成制度を利用している方と、福祉サービスの利用等のために精神障がい者保健福祉手帳を所持している方になります。
 令和3年度末時点で該当する自立支援医療制度を利用している方は9,309人、精神障がい者保健福祉手帳を所持している方は4,503人です。両方の制度を利用している方もおられるので、本市では1万人程度が対象になると考えています。
○副議長(塩津孝明君) 平井 俊光議員。
◆2番(平井俊光君) 倉敷市民約48万人に対して1万人程度ということでございまして、48人に1人、約2%の方が対象となるという数字であると捉えました。
 次に、倉敷市における精神障がい者の地域移行支援の実績と需要についてお尋ねしたいと思います。
 国の調査では、精神科病院に1年以上入院している方が全国で約17万人いると聞いております。倉敷市では、どのくらいの人数になるのか、また、法に基づき設置されています倉敷地域自立支援協議会の精神部会では、障がい福祉サービスである地域移行支援を利用して、長期入院患者が退院を目指すことを支援する活動が長年続けられていると伺っております。
 地域移行支援とはどのような活動で、その活動の実績と今後の需要をどのように考えているか、お答えください。
○副議長(塩津孝明君) 吉岡保健福祉局参与。
◎保健福祉局参与(吉岡明彦君) 精神科病院へ1年以上の長期入院をしている倉敷市民は、統計として最新となる令和2年6月30日時点で444人でした。
 地域移行支援は、住宅の確保や外出の同行、障がい福祉サービスの体験利用、入院中から退院後の生活の準備等の相談支援を行うものです。
 本市では、障がい福祉関係機関や精神科病院等と協議を行い、課題の共有や地域移行支援を利用しての退院に向けた働きかけを行っております。
 その結果、地域移行支援サービスが始まった平成24年度から令和2年度までの利用は136件となっています。
 地域移行支援サービスの利用者からは、退院後の生活のイメージが持て、不安が解消されたという声をいただいており、今後、より多くの方に利用していただき、長期入院者の退院促進につなげていきたいと考えております。
○副議長(塩津孝明君) 平井 俊光議員。
◆2番(平井俊光君) 倉敷市でも、まだ長期入院されている方が444人いらっしゃる。そういった中で長年にわたりまして、136件の地域移行支援サービスの御利用がなされ、これらが関連する医療機関、関係行政機関、NPO法人やくらしき心ほっとサポーターの人たちの協力の下、実現されていることはすばらしいことだと捉えております。
 さて、国は、精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの体制構築にはピアサポートの活用に係る事業というものが定義されておりまして、また、市町村等にはピアサポーター等が活躍できる環境の整備に努めるべきと記載されておりますけれども、このピアサポーターについて、今後の人材発掘、人材育成に当たり、ピアサポーターの役割や活動をどのように定義されるか、お答えください。
○副議長(塩津孝明君) 吉岡保健福祉局参与。
◎保健福祉局参与(吉岡明彦君) ピアサポートとは、同じような立場や悩みを経験してきたことを生かして、仲間として支え合う活動のことです。
 精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムでは、精神障がい者のピアサポーターには、当事者グループによる仲間同士の支え合い、精神科病院等における入院患者との交流、体験発表による一般市民への普及啓発等、多様な役割や活動が求められています。
 本市では、当事者の方に健康づくり講座での講師として参加していただくなど、ピアサポーターの人材発掘や育成につながる取組を始めており、今後は、該当する当事者の方々の意見を聞きながら、ピアサポーターの役割等を検討してまいります。
○副議長(塩津孝明君) 平井 俊光議員。
◆2番(平井俊光君) なるほど、ピアサポーターとは、同じような立場や悩みを経験した方で、当事者の方の生きづらさを軽減したり、長期入院患者の方の地域移行支援を進めていこうという活動を担っていただいている方のことを言うわけですね。
 精神障がいの当事者でもあるピアサポーターの方々が社会の力になり、インクルーシブの推進の一翼を担っていただくということは大変ありがたいことですし、当事者の方にとっても、ピアサポーターとして社会に貢献しようという意欲を持っていただける、そういう好循環が起こるとうれしいと考えております。
 では、この項最後の質問です。先ほどのお答えで、本市ではピアサポーターの人材発掘や育成につながる取組を始めているという御答弁をいただきました。今後のピアサポーターの人材発掘や育成につながる取組を行っていく上で、この取組状況と課題についてお教え願いたいと思います。また、ピアサポーターが活躍できるための環境整備を今後どのように考えているか、お答えください。
○副議長(塩津孝明君) 吉岡保健福祉局参与。
◎保健福祉局参与(吉岡明彦君) 精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムの構築においては、精神障がい者のピアサポーターの参画が求められています。このため、本市では現在、市民向けの講座等での体験発表の機会を通して、ピアサポーターの人材発掘や育成に取り組んでいます。また、これまで、ピアサポート活動の実績のある方や事業所等に意見を聞き、本市における今後のピアサポート活動の在り方を検討し始めているところです。
 ピアサポート活動が活発に行われ、地域に根づくためには、啓発・活動費の確保、サポーター支援の体制整備等、多くの課題があることから、引き続き庁内関係部署と連携していく必要があると考えています。
○副議長(塩津孝明君) 平井 俊光議員。
◆2番(平井俊光君) 精神障がいの方も、誰もが地域の一員として安心して自分らしい暮らしができる社会を目指すという目標は、まさに持続可能な社会の実現を目指すSDGsが誓う地球上の誰一人取り残さないことにつながるインクルーシブ、社会包摂への取組でございます。これまで、倉敷地域自立支援協議会精神部会で行ってきた活動を国の精神障がいにも対応した地域包括ケアシステムに対応して、強化、拡大していくとよいという理解をいたしております。
 今後とも、当事者の方がピアサポーターとして活躍できる環境整備、仕組みづくり、支援制度等、関係各部署の皆さんで前のめりに進めていただきますよう要望いたしまして、質問を終えたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
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